恋を知らない侯爵令嬢は裏切りの婚約者と婚約解消し、辺境地セカンドライフで溺愛される
 どんなに困難があったとしても、縁があれば必ず結ばれる。そういうものだと書かれているけど、本当に、そんな運命的なものがあるのかしら。

 本を閉じて膝に置き、ふうっと息を吐くと、紅茶の優しい香りが漂ってきた。

「リリー、熱心ですね」
「……お母様」
「ノックをしても返事がなかったので、勝手に入ってしまったけど、随分と集中しいたわね」

 アルフレッドを従えて訪れたのは、お母様だった。
 
「お茶にしましょう」
「ありがとうございます……お父様は、まだお怒りでしょうか?」
「えぇ。今日もオーランド伯爵が謝罪に訪れましたが、まだ、納得されないご様子でしたよ」
「そうですか……お母様、申し訳ありません。私が、私が……」

 私がフェリクス様に愛される淑女であったなら。そう言い出すことは出来ず、涙が零れ落ちた。
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