恋を知らない侯爵令嬢は裏切りの婚約者と婚約解消し、辺境地セカンドライフで溺愛される
「……お母様」
「信頼を裏切ったのです。それが意味することを、フェリクスは身をもって知らねばならないでしょう」

 私の涙を拭ったお母様は、そっと手を引いて、お茶の用意されたテーブルまで私を誘い出してくれた。

 お母様は、それ以上、婚約の話に触れることはせず、ウォード家と領地で最近あった話を聞かせて下さった。
 お兄様が魔狼の幼体を拾ってきて、ちょっとした騒動になったとか、最近、花占いが流行っているだとか。

 用意されたクッキーを頬張りながら、私は懐かし領地の風景を思い浮かべ、お母様の話に耳を傾けて時を過ごした。
 
 翌日、オーランド伯爵様がフェリクス様とダイアナを連れて訪れ、私は久々に対面することとなった。
 ソファーに深く腰かけて出迎えたお父様は、地獄の悪魔も震え上がりそうな怒りに満ちたお顔をされていた。

 私の姿を見るなり、オーランド伯爵様が謝罪を口にしてきたけど、私はそれに応えず席に着いた。

「この度は、リリーステラ様に我が愚息がとんだ失礼を──」
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