恋を知らない侯爵令嬢は裏切りの婚約者と婚約解消し、辺境地セカンドライフで溺愛される
「風よ唸れ──ウィンドバースト!」

 号令に応えるように、輝く魔法陣が展開した。
 風が唸り、私たちを包み込む。

「砕けろ!」

 アルフレッドの手が振り下ろされた。
 魔法陣が下方へと叩きつけられ、まるで、鏡が割れるようにカシャンッと鳴った。

 再び風が吹き上がった。
 雲が晴れる。すると、全く見えなかった地面と森がすぐそこに迫っていた。

「アルフレッド!?」
「問題ありません。私を信じなさい、リリー!」

 直後、風の塊が地面に向けて叩きつけられた。
 周辺の木々が枝葉を折られてベキベキと音を立て、土埃が立ち上がる。

 肩を抱くアルフレッドの手に力が込められた。
 スカートが翻り、爪先が地面に触れる。

「なんとか、なりましたね」

 穏やかな声が聞こえた。顔をあげると、ほっと息をつくアルフレッドと目があった。

「遺跡って面白いわね!」
「リリー……貴女がこれほどおてんばだとは思いませんでした」
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