恋を知らない侯爵令嬢は裏切りの婚約者と婚約解消し、辺境地セカンドライフで溺愛される
「……リリー、怪我はありませんか?」

 尋常じゃない汗をかくアルフレッドは、私の肩を抱きすくめたまま身体を起こした。彼の身体に覆い被さるようにして倒れたから、私に怪我はほとんどない。

「私は大丈夫だけど……アルフレッド、ちょっと座ってちょうだい!」
「この程度は問題ありません。移動を──」
「いいから座りなさい!」

 立ち上がろうとするアルフレッドの肩をぐんっと押すと、彼は簡単に茂みに背を預けた。

 足に力が入っていないんだわ。

「私は癒し手よ。少しは頼ってちょうだい」

 いいながら、アルフレッドの頬に触れた。やっぱり熱い。熱があるんだわ。

 だけど、塔に入るまではどこも体調が悪そうではなかったわ。
 どういうことかしら。
 毒虫に噛まれたり、毒を含む植物に触れたなら、足元や腕に血が滲む痕があるものだけど。

 首元をみて、それから手足を探る。すると、アルフレッドが「魔力の欠片です」と呟いた。
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