恋を知らない侯爵令嬢は裏切りの婚約者と婚約解消し、辺境地セカンドライフで溺愛される
 あの様子なら、結婚したら浮気三昧できそうだな。見た目だけの令嬢だな。──陰で笑われるのは耐えがたかった。

 でも弱い心のどこかで「そうなのかも」と思ってしまい、私は戦うことから逃げ出してしまったの。

 怖かったのよ。

 ダイアナを悪くいって、フェリクス様に嫌われたらどうしよう。
 この婚約がダメになってしまったら、お父様がお怒りになるんじゃないかしら。
 色々と考え出したら、陰口を気にするどころじゃなかったわ。
 
 だって、フェリクス様の家は大きな騎士団を持つオーランド伯爵家で、お父様はそこに繋がりができると大層喜ばれていたんだもの。
 お母様だって、私が泣いてるなんて知ったら、きっと悲しまれるわ。

 私は意気地のない、駄目な令嬢なんです。
 どうすれば、幸せな結婚ができるのだろうか。

 私は、このままでいいの?

 その問いに答えは見つからなかった。
 人の声を聞くのが辛く、心の苦しい日が続いた。そんな中、心を和らげてくれたのは物語だった。

 文字を追ってページをめくる音を聞いていると、別世界へ飛び込めるような気持ちになれたわ。
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