恋を知らない侯爵令嬢は裏切りの婚約者と婚約解消し、辺境地セカンドライフで溺愛される
 湯浴みに連れられてくると、待ち構えていたメイドたちもすごく驚いた顔をした。

 連れてこられたのは、湯の張られた猫足のバスタブ。バラの花びらが浮かび、立ち込める湯気はとてもよい香りがする。

 ずたぼろとなった服を脱がされ、結っていた髪がほどかれた。
 すると、はらはらと木の葉が足元に落ちた。

「奥様、髪が痛んでいます。ああ、こんなに木の葉が!」
「腕に擦り傷ができていますわ」
「お顔に怪我がなくてようございましたが……」

 私をバスタブに入れた三人は、同時に息を深く吸った。

「「「無茶をなさいますな!」」」

 見事にハモった声にビックリして、私は目を丸くした。

 泡を立てたスポンジが腕を撫で、ブラシが髪をすく。
 それに身を任せて愛想笑いを浮かべると、三人はまた声を揃えて「奥様!?」と、私の返事を促した。

「……気を付けます」

 心の内で「また遺跡には行くけど」と呟きながら、大人しくされるがままとなった。
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