恋を知らない侯爵令嬢は裏切りの婚約者と婚約解消し、辺境地セカンドライフで溺愛される
 しっかり磨かれて湯浴みを終えれば、ドレスに着えるからと大きな姿見の前へ促された。

 もうすぐ夕食の時間になるから、身支度を整えるのはわかるのだけど……
 ウエストのリボンを結ばれながら、鏡に写る姿を見た。

 ウエストから裾まで、淡いピンクからマゼンタピンクへグラデーションになっているスカートは、ドレープが美しい。さらに、重ねられるレースも小花の刺繍が施され、丁寧な仕事がうかがえる。

 ずいぶん着飾るのね。
 舞踏会でも開かれるのかしら。そんな話しは聞いていないけど。

 ドレッサーの前に座って首を傾げると、髪にブラシを当てたメイドから「真っ直ぐなさってください」と手厳しく指摘された。

 冒険に連れていってもらったから、ちょっと気が緩んでいたわ。

 お屋敷に戻ったら、私はクラレンス辺境伯夫人よ。
 アルフレッドのためにも、また遺跡に連れていってもらうためにも、しっかりしないと。

 鏡に写る私に「大丈夫、できるわ」と呟き、背筋を伸ばした。
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