恋を知らない侯爵令嬢は裏切りの婚約者と婚約解消し、辺境地セカンドライフで溺愛される
 アルフレッドは私の向かいに立つと、朗らかに微笑んで頷いた。

「お祖母様はリリーと仲良くなりたいと話してましたよ」
「……私もそれはそうなんだけど」
「難しい顔をせず、祭りを楽しむ気持ちでよいかと」
「そうだけど……」

 ヴァネッサ夫人から聞かされていたことを思い出した。
 辺境伯夫人としてのお祭りへの関わりは、修道院の手伝いをするのが恒例らしい。修道院への出資や援助は、貴族としてごくありふれたことだし、それ自体に不満や抵抗がある訳じゃない。
 あるのは、遺跡に行けない不満だけだわ。

 不満そうにしているのが伝わったのだろう。アルフレッドの長い指が私の眉間を突いた。

「シワができますよ」
「だって……遺跡に行きたいのに」
「また連れていきますから」

 やれやれといいたそうな顔をしたアルフレッドの口元が少し上がった。

「本当?」
「ええ、私がリリーと約束を違えたこと、ありますか?」
「……それはないけど、またっていつ?」
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