恋を知らない侯爵令嬢は裏切りの婚約者と婚約解消し、辺境地セカンドライフで溺愛される
 見つめられて十数秒。誰かが「素敵な夜になりますよ」といったことで、はたと気が付いた。もしかしなくても、みんな揃って、夜の営みのことをいっているのでは!?

 にこにこと微笑むメイドたちの視線を全身に感じ、頬が熱くなった。

「あ、あの、それは……」

 どう返していいかわからず言葉を濁していると、メイドたちは嬉々として口を開いた。

「ふふっ、リリーステラ様は初心でございますね」
「そこが愛らしくて、いいのですけど」
「殿方としては、なかなか勇気もいりそうですわね」

 花が咲くように、メイドたちからぽんぽんと言葉が出てくる。さらに「最初が肝心ですからね」とか「旦那様に身を任せるだけでいいんですよ」なんて、アドバイスなのかわからないけど、私の羞恥心を煽るような話が始まった。

 わかってる。
 宰相夫人になるために、閨教育も受けていたもの。教本でしっかり学んだわ。当時の家庭教師は結婚されていたから、夜の事情を聞いたことだってある。
 でも、思い出すほど恥ずかしさが込み上げてくる。
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