母の世界のTKG
三時間かけてたどり着いたのは、小さな村だった。
「こちらは?」
「俺の実家。……お前の母親の実家でもある……と思う。たぶん。親父ー、連れてきたー」
「おー、悪いな。……ほんとに、姉さんにうり二つだ」
オリビアを出迎えた壮年の男性は、彼女を見るなり涙ぐんだ。
「……は、はじめまして、オリビア・フォン・バルツィアと申します。あの、母を、ご存じなのですか?」
「ああ、よく知っているとも。姉は……晴香は、今どこに?」
「……昨年、亡くなりました」
「なっ……!? ……詳しく、聞かせてはくれないだろうか」
「あの、すみません、私にも教えていただけませんか? ここ、母が元いた世界なんですよね?」
「……ああ」
男性は頷く。
そしてようやく気づいたように、オリビアを部屋へ通した。
オリビアは不安な思いで翔を見上げる。
彼は小さく頷き、オリビアの少し前を歩いた。
彼女にできたのは、翔の背に隠れるように後を追うことだけだった。
「晴香は、高校生の時に突然姿を消したんだ。忽然と、姿形が見えなくなった」
それが、母の言っていた「異世界トリップ」なのだろう。
オリビアは黙って続きを待つ。
「警察にも届けたし、山も川も探した。……けど、異世界じゃなあ……」
「……はい。母から、元の世界のことは時折聞いていました」
オリビアは、晴香の弟だという男性――植草裕也に、知っている限りの母の話をした。
トリップ後、勇者を献身的に支えたこと。
魔王討伐後、勇者に見初められたこと。
オリビアが生まれた数年後に勇者が亡くなり、母が女手一つで育ててくれたこと。
そして、過労で亡くなったこと。
「……そうか。姉は、幸せだったんだね」
「そう、思われますか?」
「こちらは?」
「俺の実家。……お前の母親の実家でもある……と思う。たぶん。親父ー、連れてきたー」
「おー、悪いな。……ほんとに、姉さんにうり二つだ」
オリビアを出迎えた壮年の男性は、彼女を見るなり涙ぐんだ。
「……は、はじめまして、オリビア・フォン・バルツィアと申します。あの、母を、ご存じなのですか?」
「ああ、よく知っているとも。姉は……晴香は、今どこに?」
「……昨年、亡くなりました」
「なっ……!? ……詳しく、聞かせてはくれないだろうか」
「あの、すみません、私にも教えていただけませんか? ここ、母が元いた世界なんですよね?」
「……ああ」
男性は頷く。
そしてようやく気づいたように、オリビアを部屋へ通した。
オリビアは不安な思いで翔を見上げる。
彼は小さく頷き、オリビアの少し前を歩いた。
彼女にできたのは、翔の背に隠れるように後を追うことだけだった。
「晴香は、高校生の時に突然姿を消したんだ。忽然と、姿形が見えなくなった」
それが、母の言っていた「異世界トリップ」なのだろう。
オリビアは黙って続きを待つ。
「警察にも届けたし、山も川も探した。……けど、異世界じゃなあ……」
「……はい。母から、元の世界のことは時折聞いていました」
オリビアは、晴香の弟だという男性――植草裕也に、知っている限りの母の話をした。
トリップ後、勇者を献身的に支えたこと。
魔王討伐後、勇者に見初められたこと。
オリビアが生まれた数年後に勇者が亡くなり、母が女手一つで育ててくれたこと。
そして、過労で亡くなったこと。
「……そうか。姉は、幸せだったんだね」
「そう、思われますか?」