座敷牢令嬢は今日も謎を解く
「それは、昔からいる使用人たちのお仕事です。わたしなんかが若旦那様の部屋を掃除することはできません」
強い眼差しでキッパリと言い切るトミ。

嘘ではないだろうが、そんなことを自分で言って悲しくはならないのだろうか。
「いつも若旦那の部屋を掃除しているのは誰なの?」
「えっと、確かユキ姉さんです。ユキ姉さんは名前の通り雪のように肌が透き通っていて、唇だけが浮き出したようで、それはそれは綺麗な姉さんで……」
うっとりとした表情でユキ姉さんについて語り始めたトミを手で制して一旦止めた。

トミはよほどユキ姉さんという人を慕っているようで、このままでは明日の朝まで語りかねない。
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