絶対零度の王子殿下は、訳アリ男装令嬢を愛して離さない
「あぁ、あれはね、殿下のそばにいる生徒がものすごーく美人だって僕たちのクラスで噂になってたんだよ」
「びっ……美人て……僕は男だよ……」

 恥ずかしさのあまり、セレナは再びフードを被った。

「あはは、カイルってば照れてる可愛いー」
「んで、これまた美丈夫の殿下と並んでるから、別世界過ぎて誰も近寄れないってみんな嘆いてる」
「そんな風に思われてるなんて……」

 アンリがかっこいいのは納得だけれど、自分に美人などという形容詞は似合わないし、そう言われることには慣れていない。増してや、自分がそばにいるせいで近寄りがたい雰囲気を作ってしまっているのは、なんだかアンリに申し訳ない気持ちになった。

「殿下……、あまり僕と一緒にいない方がいいかもしれません……」
「俺は別に構わない」
「で、でも……みんな殿下とお近づきになりたがってるんですよ?」
「俺は魔法を習いにここに来た。仲良しごっこをしに来たわけではない。――君は俺がそばにいたら迷惑だろうか……」
「迷惑だなんて、そんなわけありません!」

(注目を浴びるのだけは勘弁だけど……)

 そんなことを言えるはずもなく。
 周りも日が経つにつれて興味も薄れていくだろう。
 そう思って諦めるしかなさそうだ、とアンリの態度を見て思った。

「でも……今日の噂で思ったけど、カイルはできることなら殿下のそばにいた方が良いと思うんだ」
「……? どういうこと?」
「その、ね……」

 きょろきょろと周りを警戒しながら、ギャスパーはこちらに身を乗り出して声を潜める。

「可愛かったり綺麗だったりする生徒は、男でも性欲発散の相手に狙われることがあるとかないとか」
「っ」

 セレナはぎょっとして目を見開いた。


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