絶対零度の王子殿下は、訳アリ男装令嬢を愛して離さない
一体なにが起きているのか。
セレナはパニックに陥って、行き場のない手をあてどもなく彷徨わせることしかできない。ハッとして周りを見れば、みんな口をあんぐりと開けて呆然としていて、とてつもない羞恥心に襲われた。湯気が上りそうなくらい、顔が熱くて足の痛みどころではない。
「あの、殿下、下ろしてください!」
「だめだ。まだ痛いんだろう。このまま学園に戻るからしっかり掴まっていろ」
「えぇっ」
有無を言わさず歩き出したアンリ。その後ろをみんなが慌ててついてくる。
「あ、歩けますから!」
「……」
アンリは、不機嫌そうに眉間に皺を寄せ、無言で進行方向を見据えている。自分の言葉は聞き入れてもらえそうにないなとセレナは諦めた。
背の高いアンリが早足で歩けば、あっという間に森を抜けて集合場所に着いた。待機していた先生とすでに課題を探し終えたグループの生徒たちが、アンリたちに気付いて視線が集中する。
その全身に突き刺さるような視線に耐えられず、セレナはフードを目深に被り遮断した。
(情けなさすぎる……)
結局アンリに助けられて迷惑をかけてしまったことが、不甲斐なくて嫌になった。せっかく順調にやれていたのに。最後の最後でへまをしてしまったのが悔やまれてならない。
「先生、デュカスが足を怪我したので先に学園に戻ります」
「大丈夫か、どの程度の怪我だ? 俺も多少なら治癒魔法使えるから見せてみろ」
先生がセレナの足に手を伸ばすも、その手は空を切る。アンリが一歩下がってそれを阻止した。先生は目を点にしてアンリを見た。セレナも釣られるようにして顔をあげたが、アンリの端正な顔はピクリとも動かない。
「傷跡が残ってもよくないので、治癒魔法専門の先生に診てもらってきます。――では」
言い終わらないうちにアンリは踵を返して歩き出した。後ろでは先生が「あっ、そ、そうだな、ちゃんと手当してもらえよ!」と声をかけてくれていたので、セレナはペコリと頭を下げておいた。
結局、お姫さま抱っこのままあっという間に学園にたどり着き、正門から自分で歩くと訴えるもすげなく却下されて医務室まで向かう。その途中、他学年の生徒からも容赦なく好奇の目を向けられて、いたたまれない思いをする羽目になったのは言うまでもない。
セレナはパニックに陥って、行き場のない手をあてどもなく彷徨わせることしかできない。ハッとして周りを見れば、みんな口をあんぐりと開けて呆然としていて、とてつもない羞恥心に襲われた。湯気が上りそうなくらい、顔が熱くて足の痛みどころではない。
「あの、殿下、下ろしてください!」
「だめだ。まだ痛いんだろう。このまま学園に戻るからしっかり掴まっていろ」
「えぇっ」
有無を言わさず歩き出したアンリ。その後ろをみんなが慌ててついてくる。
「あ、歩けますから!」
「……」
アンリは、不機嫌そうに眉間に皺を寄せ、無言で進行方向を見据えている。自分の言葉は聞き入れてもらえそうにないなとセレナは諦めた。
背の高いアンリが早足で歩けば、あっという間に森を抜けて集合場所に着いた。待機していた先生とすでに課題を探し終えたグループの生徒たちが、アンリたちに気付いて視線が集中する。
その全身に突き刺さるような視線に耐えられず、セレナはフードを目深に被り遮断した。
(情けなさすぎる……)
結局アンリに助けられて迷惑をかけてしまったことが、不甲斐なくて嫌になった。せっかく順調にやれていたのに。最後の最後でへまをしてしまったのが悔やまれてならない。
「先生、デュカスが足を怪我したので先に学園に戻ります」
「大丈夫か、どの程度の怪我だ? 俺も多少なら治癒魔法使えるから見せてみろ」
先生がセレナの足に手を伸ばすも、その手は空を切る。アンリが一歩下がってそれを阻止した。先生は目を点にしてアンリを見た。セレナも釣られるようにして顔をあげたが、アンリの端正な顔はピクリとも動かない。
「傷跡が残ってもよくないので、治癒魔法専門の先生に診てもらってきます。――では」
言い終わらないうちにアンリは踵を返して歩き出した。後ろでは先生が「あっ、そ、そうだな、ちゃんと手当してもらえよ!」と声をかけてくれていたので、セレナはペコリと頭を下げておいた。
結局、お姫さま抱っこのままあっという間に学園にたどり着き、正門から自分で歩くと訴えるもすげなく却下されて医務室まで向かう。その途中、他学年の生徒からも容赦なく好奇の目を向けられて、いたたまれない思いをする羽目になったのは言うまでもない。