兄の結婚式で久しぶりに会った初恋の人と0日婚ということでお願いします
1話 兄の結婚式

ここは軽井沢の結婚式場


大学時代からお付き合いしていた彼女とお兄ちゃんの結婚が決まり、11月の勤労感謝の日に式と披露宴をすることになった。

私、小澤香穂理(おざわかほり)は今は実家を離れて上京して大学3年生だ。

香穂理の夢は1級建築士になること!

東京の大学の工学部建築学科に通っている。

1級建築士は取得が難しいけど、私は大型ショッピングモールやテーマパークが大好きでいつか自分の設計で作りたいという叶えられるかどうかわからない夢を今は追い続けている所だ。

なのに、結婚式に来てくれたお兄ちゃんの高校時代の親友の渡瀬廉(わたらせれん)さんにとんでもない事を言われてしまったのだ。




「香穂理(かほり)ちゃん、突然だけど俺の両親に会ってくれないか?」

「……えっ?」


それって……どういう意味?



遡ること1時間前……


無事にお兄ちゃんのチャペルでの結婚式を終えて、披露宴が始まり、お色直しで主役がいない時だった。


「香穂理ちゃん?」

コースの料理をもぐもぐと食べていた私に声をかけてきたのが廉さんだった。

ブランドのブラックスーツを着こなし片手には瓶ビールを持っていた。

「えーと、20歳過ぎてたかな?(笑)」

瓶ビールをコップに近づけた。

「一応21歳になりました!」

フォークを置き、グラスを空にした。

「この度はおめでとうございます(笑)」

「ありがとうございますって、何で笑ってるの?廉さん」

廉は香穂理のグラスにビールを注いだ。

「いやぁ、だって小学生だった香穂理ちゃんだよ?」

私の隣の席の両親はみんなにお酌に回っていて空席だった。

そこに腰を下ろすと私がビールをグイと呑むのをじっと見ていた。

「飲める口?」

「普通だと思うけど…あっ、普通だと思うんですけど…」

「ん?何で言い直した?」

「だって、もう子供じゃないし昔みたいに話すのも違うかなって思ったんですけど」


廉さんは高校時代に家によく遊びに来ていてよく香穂理の事を構ってくれたのだ。

その頃11歳だった私は敬語は大人に使うものだと思っていて、廉さんには普通に友達感覚で話していたのだ。

廉さんのお家は仕事で忙しいと聞いていて、夕食もうちで食べる事もよくあった。

一緒にテレビゲームをしたりたくさん遊んでもらったのだ。


でも高校卒業で兄と進路が分かれてから来なくなり、凄く寂しかった思いがあり、それが私の初恋だったんだと気づいたのは中学の時だった。
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