兄の結婚式で久しぶりに会った初恋の人と0日婚ということでお願いします

「なぁ、今日会うの凄い楽しみだったんだけど、話していいかな?」

「私とですか?」

「だから普通に話せって」

「うっ……わかった」

と返事をした後に親に会ってくれと言われ、びっくりしている所だったのだ。



「はぁ?意味不なんだけど?」

私はビールをゴクンと飲んだ。

だって、親に会うって普通はね、結婚するとかだよね、それか付き合って紹介するとか……

「この間彼氏と別れて今はまだ男いないよな?」

「な、何で知って……あっ、もしかしてお兄ちゃんが喋った!?」

「うん、聞いた(笑)」

「笑い事じゃないし…」

「ごめん、でもいつも達矢(たつや)と電話をすると香穂理ちゃんの事を聞いてるんだ」

「そんなの…知らなかったし、振られた事はお兄ちゃんに確かに言ったけど…う〜お兄ちゃんも廉さんに言わなくても良くない?」

「何なら住んでる区も知ってる」

「じゃあ、歳も知ってるじゃん!さっきわざと聞いたんだ、えー、廉さんてそんな人だったんだ」

香穂理は少し怒りをあらわにした。

「まぁ、昔の俺とは違うよ、大人だし」

廉は内ポケットから封筒を出して香穂理に渡した。

封筒を開けてみると渡瀬建設70周年記念パーティーと書いてあった。

「渡瀬建設?大手じゃん、えっ、何で廉さんがこんなの持ってるの?」

「香穂理ちゃん、建築士になりたいんだろ?」

「何で知って……あっ、お兄ちゃんか」

もう私の事は筒抜けって事ね。

「俺の苗字知ってる?職業とか?」

「えーそんなの知らない、お兄ちゃんが廉て呼んでたから廉さんて呼んでたし、職業も大学が違ったから…お兄ちゃんと廉さんが工業高校の建築科だったのは知ってるけど…」

「俺、渡瀬廉て言うんだ」

また内ポケットから名刺入れを出して名刺を香穂理に渡した。

「…………え?」

名刺には

渡瀬建設(株)
設計部課長
1級建築士 渡瀬廉 Ren Watarase

と印刷されていた。

「嘘……」

「名刺で嘘ってある?俺とお近付きになってて損はないと思うけどなぁ……」

廉さんはビールをまた香穂理のグラスに注いだ。

お色直しが終わったようで、また後で話そうと廉さんは自分の席に戻っていった。


お兄ちゃんは高校を卒業後、専門学校に行き、2級の建築士を取得していて、叔父が地元で不動産を経営しているが、子供に恵まれなかった叔父の会社で働いている。

廉さんは東京の大学に進学したと聞いていたから進路を変えたのかと子供ながらに思っていたのだった。

それからはずっとテーブルで友達と楽しそうに話している廉さんを目で追っていた。

昔からかっこいいと思っていたが、ますます大人の魅力でかっこよくなってる…
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