兄の結婚式で久しぶりに会った初恋の人と0日婚ということでお願いします
12話 桃缶
廉は香穂理の部屋をノックした。
「香穂理ちゃん、達矢から聞いて桃缶を買ってきたよ、一緒に食べよう」
「桃缶?」
香穂理はゆっくりとドアを開けた。
「桃缶好きなんだろ?」
「うん…」
「おいで、食べよ」
廉さんは手を出してくれた。
香穂理はゆっくりと指だけ掴み廉と一緒にリビングに行った。
「胃腸薬とか風邪薬も買ってきた、調子はどう?」
「大…丈夫…お腹空いてたから食べる、いただきます」
香穂理は桃缶をお皿に移していてくれたものを食べた。
「ん、美味しい…」
「食べれそう?まだあるからね」
廉さんがキッチンの方をむくと香穂理も見た。
「うん、ありがとう……ちょっと待って!何個買ってきたの?」
「5個、足りなかったかな…」
「ふっ、そんなにたくさん食べれないよ(笑)もう廉さんたら5個って(笑)」
「缶詰は日持ちするから……少しは元気になったかな……心配だよ」
「…ごめんなさい、あの1つ聞いてもいい?」
「うん、何?」
「廉さんは由奈さんて人の事が忘れられないの?」
「ん?由奈とはしばらく会ってないけど…あれ?俺由奈の名前をいつ出したっけ?」
廉さんは前に話してくれた事を思い出しているようだ。
「あのね、昨日酔ってソファで寝ていた廉さんにお水を飲んでもらった時に由奈って言われて…廉さんがその人の事を忘れられないと思ったの」
「えっ、俺そんな酔ってたんだ、ごめんな」
香穂理は首を横に振った。
「さっきお兄ちゃんに由奈さんて知ってる?って聞いたら元カノって言ったから…」
「それで様子がおかしかったのか…はぁ、本当に身体の調子が悪かったら病院に連れていこうとしてたよ」
廉は胸を撫で下ろしていた。
「…子供でごめんなさい」
「うん、よかった…由奈の事は…正直に言うと忘れる事は出来ないかもな、でもそれは過去の思い出としてだな」