兄の結婚式で久しぶりに会った初恋の人と0日婚ということでお願いします
「助手席ってこんな景色なんだね」
「達矢の車には乗るんだろ?」
「うん、でもいつも後ろに乗るからね」
「そっか、食事に行こうか、任せてもらっても大丈夫か?」
「あっ、うん、でも…」
「蕎麦屋は行かないから」
「憶えててくれたの?私が蕎麦アレルギーってこと」
「もちろん憶えてるよ」
「ありがとう」
車をパーキングに停めて少し歩くとお洒落なフレンチレストランに案内してくれ、個室が用意されていた。
「内緒のお話?」
「いや」
「じゃあ別に個室じゃなくてもいいよ、私にはかっこつけなくてもいいのに」
「うーん、かっこつけてるわけではないんだが…とりあえず食べようか、腹へった」
「はーい、いただきます!」
食事中は廉さんから今までの距離を縮めるように私の事を色々聞いてきて、テーマパークに初めて行った時に作りたいと思い建築士を目指す事を話した。
最後のデザートを食べ終わると香穂理は言った。
「今度は廉さんの事を教えてよ、そして26日はバイトのお休みをもらったよ、パーティーの事が聞きたい」
「……わかった、じゃあ俺の家へ行こう」
「廉さんの?それって内緒の話じゃないの?(笑)」
「まあ、そうかな」
「ふふっ」
廉が支払いを済ませ香穂理はご馳走様でしたと頭を下げた。
パーキングまで行くとまた助手席を開けてくれようとしたので、香穂理は
「大丈夫、自分で開ける」と車のドアを開けた。
車に乗り込むと
「もうね、1回お姫様気分を味わえたから充分だよ、ありがとう廉さん」
「わかった(笑)」
「何で?おかしい?」
「いや、香穂理ちゃんはいい子だなと思って」
「ぶぅー、子供扱いしないでよね」
少し渋滞もあり、廉の家に着いた時にはもう夕方だった。
車から出ると香穂理はマンションの正面に立ち首がこれ以上そらせないくらい上を向いた。
「これがタワマン……はぁ、凄い…ねぇねぇ、かっこいいマンションだね、廉さん!」
後ろにいた廉に話しかけると廉は少し赤くなって照れていた。
「廉さん?」
「…嬉しいな、このマンションは俺が初めて設計が通ったマンションなんだ」
「凄い、本当に素敵な外観だよ、中も楽しみ」
「じゃあ内装も見てもらおうかな、未来の設計士さんに(笑)」
「見たい!」
中に入ると廉さんは入口の警備員さんに
「お疲れ様です」と声をかけていた。
香穂理もぺこりと頭を下げてエレベーターの前へ行く。
35階のボタンを廉は押すと静かにゆっくりと上に上がって行った。