君だけが、僕の世界
第10話 選択

『第10話 選択』


◯大部屋のカラオケルーム

・月々がジュースを飲んでいる。左隣では結月が女子たちと楽しそうに話している。
・月々が「ズーッ」と勢いよくジュースを飲みながら、隣の会話が気になって仕方ない様子。結月は月々の方を見向きもしない。
クラスメイト女子:「結月くん、今彼女いるの?」
結月:「ははっ、どうだろうねー」
月々(心の声):(どうだろうねってなんだ!いないって言いなよ!はぐらかす必要ある!?)
クラスメイト女子:「彼女はいないけど、遊んでる子はいっぱいいそうだよねー」
結月:「えー。俺、そんな風に見えてるの?」
・女子たちがキャッキャと笑う。月々はげんなりした表情でジュースを握りしめる。

・月々がジュースを飲み干し、イライラした表情。
月々(心の声):(さっきまで桜と日菜子といたのに、なぜかゆづに捕まるし…そのくせ、私のこと放置だし!)
・月々が立ち上がろうとすると、右手をグッと引っ張られる。結月の顔は見えず、女子と話したまま手だけ掴んでくる。
月々(心の声):(な、なんのつもり…)
・月々が手を離そうと力を入れると、結月が恋人繋ぎをしてくる。
月々:「…っ」
・月々の顔が一気に赤くなる。
月々(心の声):(こんなことしといて、なんでこっち向いてくれないの)
・結月は女子と話し続けている。月々は戸惑いながらも、繋がっていられることが素直に嬉しい。

・ブーッ、ブーッと月々のポケットから着信音。スマホを取り出すと、画面には「彩月」の名前。月々がドキッとする。
結月:「誰から?」
・月々がハッとして顔をあげる。気付けば、さっきまで喋っていた女子たちはいなくなっている。結月の視線がチラリとスマホへ。
結月:「…出ないの?」
・彩月からの着信が止まらない。月々はスマホを握りしめる。
月々:「…廊下で話してくる」
・そう言って立ち上がる。離れる右手に寂しさを感じながら。
・立ち上がった瞬間、結月に手を引っ張られる。思わず振り返る月々。結月の表情は影になり、何を考えているのか分からない。
・繋ぎ止める手と、鳴り続ける着信。
結月:「彩月のとこ行くの?」
月々:「…電話するだけだよ」
月々(心の声):(ゆづに、さっちゃんから会いたいって言われたこと言ってない…)
月々:「とにかく!この手、離してくれる?」
・結月がすんなり手を離す。月々は名残惜しさを感じながらも、立ち上がって部屋を出る。

・廊下に出た月々。賑やかな部屋の声が遠ざかり、静けさが広がる。
・月々が深呼吸しながらスマホを見つめる。指が応答ボタンに触れる。キドキと息遣い。
・月々がスマホを耳に当てる。
月々:「…はい」
彩月(電話越し):「今日どうするか、考えてくれた?」
月々:「えっと…」
彩月(電話越し):「カラオケって聞いたから、学校近くのカラオケかと思って、もう近くまで来てるんだけど…」
月々:「えっ!?」
月々(心の声):(近くまで来てる!?ど、どうしよう…。せっかくここまで来てくれたのに、会わないのは申し訳ないし…)
・月々が慌てて声を張る。
月々:「さっちゃん、今どこにいる?そこまで行くから待ってて!」

・電話を切って走り出そうとした瞬間、曲がり角に結月が立っている。切ない顔をしていて、月々の胸がズキッと痛む。
結月:「やっぱり、彩月のとこ行くんだ?」
・結月がじりじりと詰め寄り、月々の背中は壁に押し付けられる。結月が腕を壁につけ、覆いかぶさるように迫る。
・月々は目を見開き、顔を真っ赤にする。
結月:「ひどいよ、るー。俺が、どんだけ助けたと思ってんの?」
・結月が月々の首元に顔を埋める。息がかかってくすぐったい。
月々:「…っ」
結月:「…約束とか、昔の記憶とか、そんなのどうでもいいよ。そんなことより、早く俺のものになってよ」
・結月の声は縋り付くように切なく、月々の胸がぎゅっとなる。

・月々が結月の背中を見つめる。大きな背中が震えているように見える。
月々(心の声):(大きな背中が泣いてる気がする…)
月々:「ゆ、ゆづ…」
結月:「あー…。どこにも行かないように、縛り付けようかな」
月々:「…え?」
・顔をあげた結月と目が合う。嫉妬で狂ったような結月の瞳にゾクッとする月々。
結月:「だめだよ、俺以外の男を見たら」
月々:「な、に言って…」
・結月が首筋にちゅっとキスを落とす。月々から甘い声が漏れ、顔が真っ赤になる。

月々:「ゆっ、ゆづ、やめっ…」
・キッと結月を睨んだ瞬間、さっきキスを落とした首筋に勢いよくガブッと噛まれる。
月々:「いっ…!」
・痛みに顔を歪ませる月々。
・ドンッと結月を押しのける月々。首筋に手を当てると、噛み跡が残っている。あまりの驚きと痛さで呼吸が乱れる。

結月:「どうしても行くの?」
・辛そうで、何かを欲しているような結月の目に、月々はドキッとする。
月々:「い、行くよ…」
・結月に噛まれた首を抑える月々。痛みがあるのに、そこが熱を持ってドキドキしている。
結月:「俺が、行かないでって言っても行く?」
月々:「…っ」
月々(心の声):(これ以上、ゆづといたらだめだ)
・月々は返答せずに走り出す。首筋の噛み跡が痛くて熱い。呼吸が荒い演出。

・一人残された結月。壁に背中をあずけ、ズルズルとしゃがみ込む。
結月:「…最悪な展開」
・影の中でうずくまる結月。孤独と絶望を強調する演出。

◯外はクリスマスのイルミネーションが輝いている。街全体がきらめきに包まれている。

・月々が息を切らしながら走っている。
月々(心の声):(さっちゃん、さっちゃん…)
・月々の胸に結月の笑った顔がよぎる。
月々(心の声):(…ゆづ)

・走っていると、目の前に彩月が現れる。
・イルミネーションの光に照らされ、立ち尽くす彩月と目が合う。
< 10 / 15 >

この作品をシェア

pagetop