君だけが、僕の世界
第9話 揺れる心臓
『第9話 揺れる心臓』
◯通学路・朝
・月々が肩にかけたスクバをぎゅっと両手で握り締めながら歩いている。隣には、何の気なしに歩いている彩月。
・2人とも、マフラーを巻いている。
月々(心の声):(きっ、気まずいっ…どうして、こんなことに…!ゆづのこと、絶対許さないからっ)
◯回想
・部屋を出た直後、結月が思い出したように声を上げる。
結月:「あ!今日、朝から先生に呼び出されてるの忘れてたっ!先行くから!じゃーね~」
月々:「なっ、ゆづ!?」
・結月が風のように走り去っていく。扉の前に取り残される月々。
・ガチャッと久我家の扉が開く。バチっと目が合う月々と彩月。
彩月:「あー…おはよう」
月々:「お、おはよ」
月々(心の声):(久しぶりの、さっちゃんだっ…)
・月々が少し遠い目をして考える。
月々(心の声):(1か月ぶりくらい?もう、そんなに経つの?)
・月々がチラッと彩月の顔を見る。彩月は気まずそうにしながらも、ニコっと微笑む。その笑顔に、力が抜ける。
・月々が心の中で強く思う。背景に結月の影がちらつく演出。
月々(心の声):(学校行ったら、ゆづのこと殴る…)
・月々が少し勇気を出して口を開く。
月々:「さっちゃん、久しぶりに2人で学校行かない?」
・彩月がフッと笑い、頷く。
彩月:「…そうだな」
◯通学路・現在に戻る
・月々が歩きながら、心の中で焦る。
月々(心の声):(さっきまで、全然気まずくないかも?意外と大丈夫かも!って思ったけど、やっぱり勘違いだった!)
・月々がチラッと隣の彩月を見る。彩月は普通そうにしているが、その顔には少し寂しさと安堵が混ざっている。
・彩月が少し気まずそうな顔で月々に声をかける。
彩月:「…月々ちゃん、最近元気だった?」
・月々が慌てて答える。
月々:「えっ、あ、うん!ゆづがいつも隣にいてくれるし…」
・結月の名前を出した途端、彩月が悲しそうな顔をする。月々の頭の上に「?」が浮かぶ演出。
月々(心の声):(なんでそんな悲しそうな顔するの?)
・月々が俯きながら考える。胸の中に黒いもやもやが広がる演出。
月々(心の声):(それに、彼女ができたんなら、そう言ってくれればよかったのに…)
・月々はモヤモヤしたまま、彩月は悲しい表情のまま。二人の間に沈黙が流れる。
・月々が歩きながら、ふと思い出す。
月々(心の声):(そういえば、3人でいたときもゆづが気を利かせてくれてたな~)
・背景に回想のイメージ:無邪気に笑う結月の顔。
・月々が自然と頬をほんのり赤く染める。本人は気づいていない。
月々(心の声):(ほんと…いつも、知らないうちにゆづに助けられてる)
・彩月が横目でチラッと月々の顔を見る。月々は気づかず前を向いたまま。
※場面転換
◯教室
・教室の扉を開けると、目の前に結月が立っている。
結月:「一人で来れた?」
月々:「バカにしないでっ。それに、一人じゃなかったし」
・月々がジト目で結月を見る。
月々(心の声):(絶対殴る!)
結月:「一人じゃなかった…って?」
・月々がそっぽを向いて答える。
月々:「さっちゃんと一緒に来たの!」
・結月の眉がぴくっと動く。
結月:「…へぇ。何話したの?」
月々:「何にも話してないよっ!気まずかったんだから」
・結月が小声で呟く。
結月(小声):「なんで今日に限って…」
結月:「最近、彩月起きるの遅いんだけど、今日は早かったんだね」
・ヘラっと笑う結月。月々は疲れ切った顔でため息。
・月々が少し顔を赤くして言う。
月々:「…まぁ、でも。いつも、ゆづに助けられてるんだなって実感した」
・結月が驚いた表情を見せる。
結月:「そうだよ。るーのことは俺が守るからね」
・結月がぐりぐりと月々の頭に顔を擦りつける。月々は少しイラっとした表情。
・教室の奥から声が響く。男子が教卓の前に立って大声を出す。
クラスメイト男子:「なぁ、みんなー!今年、終業式とクリスマス被ってるから、クリスマスパーティーしない!?」
・教室がザワザワし始める。
クラスメイト男子:「カラオケとかでさ!」
・「カラオケいいじゃん!」「楽しそう!」と周囲から声が上がる。
・隣にいる結月の顔を見ると、げんなりしている。
月々:「ゆづ、意外とこういうの嫌いだよね」
結月:「人込みとか苦手なんだよねー」
・結月がため息をつく。月々はクスっと笑う。
月々(心の声):(遠足も楽しそうじゃなかったしな~)
・背景に回想:川に落ちて結月にお姫様だっこされた場面。
・その記憶が蘇り、月々の頬がほんのり赤く染まる。自分では気づいていない。
・結月が月々の顔を覗き込む。
結月:「るーは、行くの?って、顔あか」
月々:「えっ、あぁ…!」
月々(心の声):(あー、最近ゆづのせいでおかしいっ…)
・月々が少し考えて答える。
月々:「桜と日菜子が行くなら、行こうかな」
・結月が考えるような表情を見せる。
結月:「じゃあ、俺もそうしようかな」
月々:「え?」
結月:「るーが行くなら行く。行かないなら、行かない」
・月々が焦った様子で。
月々:「えっ、もったいないよ!」
・結月がニコっと笑いながら、さらっと言う。
結月:「るーがいないと、クリスマスの意味ないし」
・そのまま教室を出ていく結月。
・月々が呆然と立ち尽くす。頬が赤く、混乱した表情。
月々(心の声):(私がいないと意味ないって…どういうこと?いつも、言い逃げしないでよ~!)
※場面転換
◯コンビニ前・夕方
・スウェット姿の月々がコンビニ袋を持ちながら出てくる。
・クリスマスパーティーに行くことは決まった。桜が乗り気で、日菜子と月々は付き合わされる形に。 月々は結月が「楽しみだね」と笑っていたことを思い出す。
月々(心の声):(ほんとに楽しみなのか?あれは…)
・月々が歩いていると、制服姿の彩月が目の前からやってきて、思わず足を止める。
彩月:「あー、コンビニ?」
月々:「う、うん」
月々(心の声):(気まずいっ。なぜか、朝より気まずいっ!しかも、こんなスウェット姿、さっちゃんに見られたくなかった!)
・月々が顔を逸らす。彩月が少し照れくさそうに首に手を回し、口を開く。
彩月:「…クリスマス、予定ある?」
月々:「えっと…クラスの集まりが…」
月々(心の声):(なに?なんだろう…?)
・月々がチラッと彩月の顔を見る。彩月はまた悲しそうな表情をしている。
月々:「さっちゃん、どうしっ…くしゅんっ!」
・突然くしゃみをする月々。
月々(心の声):(わーっ、はずかし…)
・ふわっと、彩月のマフラーが月々の首に巻かれる。時が止まったような演出。
・月々が目を見開き、顔を上げると彩月と目が合う。
彩月:「風邪ひくから、つけといて。俺のは、嫌だろうけど」
・月々の瞳がうるっとして、泣きそうになるのを必死に堪える。
月々(心の声):(…嫌なわけない)
・寒空の下、白い息を吐きながら彩月がまっすぐ目を見て言う。
彩月:「クリスマス…少しでもいいから、会いたいんだけど」
・月々が目を見開き、動揺する。
月々:「…ゆ、ゆづにも聞いてみないと」
彩月:「2人で」
・はっきりとそう言う彩月。月々がさらに目を見開く。
彩月:「考えといて。じゃ」
・そう言ってコンビニに入っていく彩月。月々は振り返り、彩月の背中を見つめる。複雑な表情。
・月々の口から白い息が出る。胸の鼓動が強調される演出。
月々(心の声):(さっちゃん、彼女は?私といる暇ないんじゃないの…?)