君だけが、僕の世界
第12話 忘れていた想い

『第12話 忘れていた想い』


◯カラオケ前・外・イルミネーションで輝く街

・結月が壁に背を預けて腕を組んでいる。
・月々が走ってきて、結月の顔を両手で包み込む。
月々:「なっ、なんでこんなとこにいるの!?」
月々(心の声):(冷たい…)
・結月の頬が冷たく、手も真っ赤になっていることに気づく。イルミネーションの光が二人の顔を照らす。

月々(心の声):(どうして…)
・じわっと涙が込み上げてくる月々。結月の顔を両手で包んだまま、震える声で問いかける。
月々:「な、なんで帰ってないの…」
その瞬間、結月が手を伸ばし、月々を真正面から抱きしめる。身長差で月々の足が少し浮く。
月々:「ゆ、ゆづ…」
・月々はトントンと結月の背中を叩く。結月の腕の力強さと温もりが伝わる。

・抱きしめたまま、結月が口を開く。イルミネーションの光と雪が二人を包む演出。
結月:「なんで、戻ってきたの」
・震えるような結月の声。胸がぎゅっとなる月々。
月々:「…ゆづの方こそ、なんでまだ帰ってないの」
月々(心の声):(しかも、こんな寒い中外にいるなんて…どうかしてる)
結月:「るー。寒くない?」
・結月が冷えた月々の両手を包み込み、「はー」と息を吹きかける。白い息がふわっと広がる。
月々はドキッとし、頬が赤くなる。
月々(心の声):(…私じゃなくて、自分のこと心配してよ…)
月々(心の声):(話したいことたくさんあるけど…それどころじゃないな)
・雪が降ってきて、結月の頭に少しだけ積もっている。イルミネーションの光に照らされ、二人の距離がさらに近く感じられる。

月々:「…ゆづ、今日は帰ろう」
・月々が結月の頭に積もった雪をそっと払う。結月はその手をギュッと握り締め、離さない。
結月:「今日は、繋いでたいんだけど…だめ?」
・コテンと首を傾げて、おねだりするように言う結月。月々の胸がきゅんと鳴る。
月々:「…今日だけ、だからね」
・恥ずかしそうに言いながら、ぎゅっと握り返す月々。頬が赤く染まる。
月々(心の声):(そう言いながらも、この手をずっと離したくない…)

・イルミネーションの街を、二人で手を繋いで歩き始める。雪が舞い落ち、街の光が二人を包む。



※場面転換



◯リビング

・マンションの部屋に帰ると、月々のお母さんとお父さんがアルバムを見ている。テーブルは隅にどかされ、床いっぱいに何冊もアルバムが広げられている。
・母と父はサンタの帽子を被っていて、クリスマスらしい雰囲気。
月々:「なっ、何してるの!?」
・散らかり具合に驚く月々。母と父が顔を上げて笑う。
母・父:「月々、おかえりー」
母:「月々も見る?アルバム」

・母がアルバムを広げて見せてくれる。懐かしい写真がちらりと見える演出。
母:「ほら、これ。冠を作って遊んでたときの写真」
・ページには、シロツメクサの冠をかぶった幼い月々。隣で冠を渡しているのは彩月。笑顔で外にいる二人の姿。
月々(心の声):(…これが、夢に出てくる記憶)

母:「これは病院でよく遊んでたときの写真ね」
・病院のベッドで折り紙をしている結月。管に繋がれながらも笑っている。月々も隣で笑顔。
月々(心の声):(ずっと遊んでくれたのは結月…。私が好きだったのも、結月だったんだ)
父:「最後に会ったのは彩月くんだったな。引っ越す前の日に、冠を渡してた」
・父が懐かしそうに笑う。母も頷く。
・月々がアルバムを見つめ、涙がじわっと浮かぶ。彩月と結月の記憶が重なり、ようやく真実に気づく。

・床いっぱいに広げられたアルバム。
・ページをめくると、病院で笑う結月、泣いている結月、月々と手を繋いでいる結月…ほとんどが結月との写真ばかり。
母:「ほんと、結月くんとばっかり遊んでたわよね」

・月々が写真を見つめ、涙がじわっと浮かぶ。
月々(心の声):(…なんで、今まで忘れてたんだろう。ずっと、ゆづと一緒だったのに)
母:「月々、いつも『ゆづ、ゆづ』って言ってたのよ」
・母が懐かしそうに笑う。父も頷いている。

・月々の目から涙がこぼれる。アルバムの結月の笑顔が滲んで見える。
ナレーション:――記憶の奥に眠っていた想いが、今、鮮やかに蘇る。
母:「あら、どうして泣くの~」
・月々が必死に涙を拭う。
月々:「お、思い出しちゃって…」

○母の回想
母:「…7歳の時だったかしら?結月くんの体調が悪くなって、もっと大きい病院に転院することになってね。月々は病院に行っても、ずっと結月くんのこと探してたのよ」
・母が懐かしそうに話す。アルバムの写真には、病院の廊下で結月を探すように歩く幼い月々の姿。

母:「引っ越したことを伝えると、月々ったら泣きやまなくて」
・母がフフッと笑う。月々はアルバムを見ながら、涙が止まらない。
父:「でも、また会えて良かったじゃないか」
月々:「…うん」
・涙を拭いながら、小さく頷く月々。アルバムの結月の笑顔が滲んで見える。

母:「月々、首どうしたの?」
・月々がハッとしたように目を見開く。
・自分の首筋に手を当てる。そこには結月に噛まれた跡がうっすら残っている。
月々(心の声):(わ、忘れてた…!ゆづに噛まれたこと…!)
・母が首をかしげて心配そうに覗き込む。
母:「赤くなってるけど、怪我?それとも虫に刺された?」
・月々は慌てて首元を隠し、笑顔を作る。
月々:「あ、だいじょーぶ!ちょっとぶつけただけ!」
・母は「そう?」と首を傾げながらも納得した様子。
・月々は胸の奥がざわつき、視線を逸らす。
・忘れていた痛みが、再び心臓を締め付ける。
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