君だけが、僕の世界
第13話 ずっと会いたかった

『第13話 ずっと会いたかった』


◯夢の中・病室

・やわらかい風が病室のカーテンを揺らしている。ベッドに並んで座る幼い月々と幼い結月。結月の体には何本も管が通っている。
幼い月々:「お名前、なんて言うの?」
・幼い結月の顔がしっかりと映る。結月は笑って答える。
幼い結月:「ゆづだよ!お名前なんていうの?」
幼い月々:「るる!」
幼い結月:「るー?」
幼い月々:「ちがーう!る!る!」
幼い結月:「るー?」
・結月がコテンと首を傾げる。月々は呆れ顔。
幼い月々:「まぁ…ゆづなら、るーって呼んでもいいよっ」
・結月が満面の笑みになる。その表情を見て、ドキッとする月々。
幼い結月:「るー!これから、いっぱい遊ぼうね!」
・結月の笑顔が輝き、月々の胸が高鳴る。夢の中で記憶が鮮明に蘇る演出。

◯現実・目覚まし、朝

・画面いっぱいに目覚まし時計のベルが鳴る。
SE:ジリリリリリ――!

・ベッドの上で目を開ける月々。まぶしそうに目を細める。夢の余韻がまだ残っている表情。
ナレーション:――夢で見た記憶が、心に焼き付いている。

◯部屋の描写

・カーテンの隙間から朝の光が差し込む。机の上には昨日見たアルバムが綺麗に積んである。
・ベッドから起き上がる月々。クローゼットを開けて服を取り出す。
モノローグ:どうしようかな…
・鏡の前でマフラー手に持って、つけるか迷う表情。
月々(心の声):(…ちょっとの間だけだし、いらないか)
・最終コーデ(オフホワイトのニット、チェックのロングスカート)
・アイボリーのコートを持って、部屋から出る。

◯階段

・月々が階段を降りていく。朝の光が差し込む。

◯リビング

・月々がリビングに入る。母と父は朝ごはんを食べている。湯気の立つ味噌汁や焼き鮭が食卓に並んでいる。
母:「おはよう。今日から冬休みなのに、早いわね?」
父:「出かけるのか?」
・月々がコートを抱えたまま頷く。
月々:「うん。すぐそこだけどね」

◯洗面所

・月々が鏡の前に立ち、髪をコテで軽く内巻きにする。
モノローグ:髪の毛を全体的に少しだけ内側に…
・鏡に映る月々の真剣な横顔。コテを持つ手元アップ。
・メイクをしている描写。普段の学校よりも丁寧に。
・ビューラーで睫毛を上げる。真剣な表情。
モノローグ:睫毛を上げて…
・マスカラを丁寧に塗り、リップを塗る。鏡に映る月々の顔が少し華やぐ。
・月々が鏡を見つめ、ふっと息を整える。
月々(心の声):(よし…!)

◯リビング・食卓

・洗面所から慌ただしく出てくる月々。母と父は食卓で朝ごはんを食べている。
母:「朝ごはんはー?」
月々:「いらないー!」
母:「どこ行くかだけ教えてー」
・月々がくるっと振り返り、母と父を見る。そして満面の笑みで答える。
月々:「お隣!」

・テレビ画面にニュースキャスター。
テレビ:「女優の○○さんが、昨日自身のファンクラブサイトで結婚を発表しました――」
・テレビの音を背中に、月々は急いでリビングを出る。コートを抱え、足取りは軽い。
月々:「行ってきまーす!」

◯久我家の部屋の前

・月々がインターホンを押す。指先アップ。
SE:ピンポーン
・月々の表情はドキドキ緊張している様子。頬が少し赤い。
・ガチャッと扉が開き、出てきたのは彩月。驚いた顔で月々を見る。
彩月:「月々ちゃん!?」
・月々が少し笑顔を作りながら、緊張気味に声をかける。
月々:「さっちゃん、おはよう。ゆづ、いるかな?」
・チラッと中を覗く素振り。彩月は少し嬉しそうな表情を浮かべる。
・扉の前で、彩月が少し意地悪な顔をして月々に告げる。
彩月:「実は、熱出して寝込んでてさ~。俺、これから用事あるから、月々ちゃん看病してやってくんない?」
・月々が驚いて目を見開く。手で口を押さえる仕草。
月々:「ね、熱!?」

・結月の姿を思い浮かべる月々。胸がぎゅっと締め付けられるような表情。
月々(心の声):(絶対、昨日が原因だ…!)
彩月:「じゃ、俺ほんとに行かないといけないし。あと頼んだよ」
月々:「えぇっ…!」
・彩月はニカッと笑って、手を振りながら出て行く。玄関に取り残される月々。
・月々がハッと我に返る。表情は焦りと決意。
月々(心の声):(立ち尽くしてる場合じゃないっ!)
・月々が急いで靴を脱ぎ、リビングへ走る。

◯リビング

・勢いよく扉を開ける。
SE:バンッ!
・食卓の横に立ち、飲み物を飲んでいる結月と目が合う。結月は驚いた表情。
結月:「え…るー!?」
・結月はデニムに上着を着ていて、どこかへ出かける準備をしている様子。
月々:「えっと…あれ…?」
月々(心の声):(ね、熱は?)
・シーンと静まるリビング。テレビの音だけが鳴っている。

結月:「どうしたの、るー」
・食卓にコップを置いて、月々の元へ歩み寄る結月。表情は穏やかで普通に元気そう。
・元気そうな結月を見て、安心して涙が溢れそうになる月々。胸がじんわり熱くなる描写。
月々:「ね、熱はないっ…?」
泣きそうになっているのを気付かれないように、ギュッと目を瞑って俯きながら聞く。
結月:「熱?元気だけど…るーこそ、大丈夫?」
・結月が月々の両頬に手を添えて、顔を覗き込む。結月の顔が近すぎて、月々の頬が赤くなる。
月々(心の声):(さっちゃんのバカッ!騙されたっ!)
結月:「なに、その顔」
・月々がぷくっとむくれている。結月は思わず笑う。
・結月の笑顔にぎゅんと胸を打たれる月々。涙と笑顔が入り混じる表情。
月々(心の声):(この笑顔が、ずっと見たかった…)
結月:「…もしかして、俺に会いに来たの?」
・意地悪な顔で、月々に目線を合わせながら言う結月。少し挑発するような笑み。
月々(心の声):(大きくなって、あの頃とは違うけど…)
・チラッと目線だけ結月に動かすと、結月は優しい顔をしてくれる。
・月々の胸がぎゅっと締め付けられる。結月の優しい表情に心が揺れる。
月々(心の声):(愛しい。好き。大好き)
・月々の瞳に涙が浮かぶ。結月の姿が滲んで見える。
月々(心の声):(ずっと、ずっと会いたかった…私の、ゆづ)

・結月が月々の顔を覗き込む。月々の瞳から、ぽろりと涙がこぼれる。
結月:「るー…?」
・月々は慌てて俯き、手で目元を隠すが、涙は止まらない。
・月々が顔を上げ、涙で濡れた瞳で結月を見つめる。声は震えているが、真っ直ぐに言葉を紡ぐ。
月々:「…私、全部思い出したの…。私は、ずっと…ずっとゆづに会いたかったの…」
・結月が驚いたように目を見開く。けれどすぐに、優しい笑みを浮かべる。
結月:「るー…」
・月々の涙が頬を伝う。胸に手を当てながら、絞り出すように言う。
月々:「好き…大好きだよ、ゆづ」
・結月が一瞬言葉を失い、そして静かに微笑む。月々の涙を指先でそっと拭う。
結月:「…俺も、ずっと会いたかった。るーに」
・結月はそう言って、今までみたことないくらいのクシャッとした笑顔で続ける。
結月:「だいすき」
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