さびしがりやの毒花


紙袋を受け取れば、中からふわりと甘い匂いがした。




「ん、この匂い……」

「におい?きちんと洗濯はしたはずだけど……」

「いえ。いい匂いだなとおもって」




わたしの素直な感想に、吉崎先輩はさらに笑みを深めた。




「ハニーノート。好きなんだ、この香り」

「はにー、のーと」

「そう。好きだから、香水ふっといた」




なるほどね、香水のにおいだったのか。


……じゃなくて、えっと、吉崎先輩は自分の香水を、このジャージに振りかけたってこと?

好きな香りだから、わたしにも共有したくて……という解釈でいいのかな?



「……そう、ですか」



うまく反応ができなかった。

吉崎先輩の言動に対し、深く踏み込むのはあまりよくないと直感がいってる。


とはいえ、だ。

昨日感じた"危険な兆し"

これが気のせいだなんておもわないけど、現時点ではまったく感じとれないし、怯えすぎるのも失礼だよね。

ここは穏便にやりすごそう。



< 28 / 33 >

この作品をシェア

pagetop