離婚するはずが、凄腕脳外科医の執着愛に囚われました

律に気を遣わせないように伝えたつもりだったが、彼はとても喜んでくれた。

『未依の手料理を食べるために、なるべく帰ってくるようにする』
『言うほど料理が上手なわけじゃないからね? 私だって、普段は病院の食堂に頼りきりだったんだし』
『未依が俺のために作ってくれたのなら、焦げた目玉焼きだって世界一美味いよ』
『失礼な! 焦がさないよ……たぶん』

自信なさげに反論すると、律は珍しく声をあげて笑った。

彼は未依に気持ちを告げて以来、感情を隠さない。ふたりでゆっくり過ごす時間はないにしても、出勤時や就寝前などのちょっとした時間に顔を合わせることくらいはある。そうした時に、律は言動で未依への好意を伝えてくれるのだ。

『やっぱりいいな。未依がうちにいるの』
『前も一緒に住んでたでしょ?』
『今はふたりきりだし、未依への気持ちを隠す必要がなくなった』

そう言って、彼はつい先日、ある提案をしてきた。

『朝と晩に会えた時だけでいいから、キスは許してくれないか』
『キッ、えぇ……っ?!』
『未依が嫌がることはしないと誓う。でも、少ない時間で俺を男として意識してもらうために、できることはなんでも試したいんだ』

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