離婚するはずが、凄腕脳外科医の執着愛に囚われました
「嫌か?」
「……ううん。いや、じゃ、ない」
片言で返事をしながらちらりと隣を見上げると、律が嬉しそうに微笑んでいる。
完璧な美形というに相応しい彼の微笑みは、普段がポーカーフェイスというのもあってギャップが凄まじく、拝みたくなるほど神々しい。
いい年をした大人がまるで中学生のようなやりとりだが、未依も律も恋愛偏差値は正しく中学生レベルだ。
(律くんを私と同列で語っていいかは、ちょっと疑問だけど……)
キスはしているけれど、律は決して一線を越えようとはしない。それは彼が未依の気持ちの整理がつくのを待ってくれているからに他ならない。
律の話では女性との交際はあまり楽しいものではなかったようだし、深く想いを寄せた相手もいないようだった。
その事実にホッとしているという自覚はある。それがなにを意味するのか、なぜこんなにもふたりで出かけるのに胸が弾むのか。
(本当は、もう答えは出てる気がする。今日のデートで自分の気持ちを確かめたら、ちゃんと律くんに伝えなきゃ)
未依はそんな決意を胸に、律の手をぎゅっと握り返した。