離婚するはずが、凄腕脳外科医の執着愛に囚われました
気になっていたカフェでランチを取り、ちゃっかりデザートまで平らげた。
同僚おすすめのトマトパスタは、卵白をふんわり泡立てたエスプーマにチーズがトッピングされた目も舌も楽しめる一品で、自家製のシフォンケーキはしっとりふわふわ、甘さ控えめな生クリームを乗せて食べると口いっぱいに幸せが広がった。
「そういえば、うちの両親に俺と暮らし始めたことを言ってなかったんだな」
食後のコーヒーを飲みながら尋ねられ、未依は気まずげに頷く。
現在も未依の実家に侵入した犯人の目星はつかないまま。警察も周辺をパトロールしてくれているけれど、不審人物などは見かけていないそうだ。気味が悪いけれど、手がかりがない以上どうしようもできないのが現状だった。
「どう切り出したらいいかわからなくて……。家に誰か入ったみたい、なんて言ったら心配させちゃうだろうし。律くん、話したの?」
「あぁ。できる限り家に帰るようにって、何十分も電話で説教されたよ。それに、俺が長く家を空ける時は実家に帰ってこいってさ」
案の定心配させてしまったようで申し訳ないけれど、まるで本当の娘のように心配してくれる須藤夫妻の存在に心があたたかくなる。
「今度、久しぶりにおじさんとおばさんの顔を見にいこうかな」
「そうしてやってくれ。ふたりとも喜ぶ」
「うん」