離婚するはずが、凄腕脳外科医の執着愛に囚われました
そう言って黒服姿のスタッフが部屋を出ていくと、ようやく楽に息が吸えたような気がする。そのくらい、未依は場違いだと身体に力が入っていた。
「色々買おうと思って、事前に準備してもらったんだ」
(色々買う? ここで……?!)
この店でピアスひとつ買うだけでも清水の舞台から飛び降りる覚悟が必要な価格帯だというのに、律はなにをいくつ買うつもりでいるのだろう。
VIPルームにはまるで美術館のように小さなショーケースがいくつも並べられ、未依には値段の想像もできないほど一粒一粒のサイズが大きいダイヤモンドのネックレスや指輪が展示されている。
彼が用意していたマンションにしても、先ほどの買い物の仕方にしても、金銭感覚があまりに違う気がする。
そんな未依の戸惑いを察したように、隣に座る律が小さく笑った。
「心配しなくても、日本とアメリカじゃ外科医の報酬制度がかなり違ったんだ。俺は仕事ばかりで使い所がなかったから貯まる一方だしな」