離婚するはずが、凄腕脳外科医の執着愛に囚われました
もう潮時だと無理やり自分を納得させて、役所に離婚届を取りに行った。自分の欄を埋めて、あとは律に書いてもらって提出すれば、あっさりと他人に戻れてしまう。
それを渡すのはどれだけ苦しいのだろうと想像し、けれど彼の帰国が延期になって二年もの時間が流れ、ついに渡せた時には晴れやかな気さえした。
「でも一緒に暮らし始めて、すぐに思い知ったの。ずっと見ないふりをしてきただけで、私の恋はなくなってなかった。ずーっと、今も、変わらずにここにあるの」
重ねられた律の手を、未依は自身の胸へと持っていく。ドキドキと、律が大好きだと鼓動を刻んでいる音が、少しでも彼に伝わるといいと願いながら。
「よくお財布忘れちゃうし、患者さんには『みーちゃん』とか呼ばれる子供っぽい私だけど……それでもいい?」
「未依」
「そんなに家事は得意じゃないし、勝手に突っ走って離婚とか言いだしちゃったけど、それでも――」
律くんが好き。だから、私と結婚してほしい。
その言葉は、最後まで言えなかった。