離婚するはずが、凄腕脳外科医の執着愛に囚われました

どれだけ本人たちが恋愛感情ゆえだと話しても、口さがない人たちはいる。未依が身寄りのない未成年となれば、悪く言われるのは律や須藤の両親なのだ。

「学生のうちは手を出すなとは言ったけど、まさかなにも告げずにプロポーズしてたなんてね。急な渡米だったとはいえ、せめて結婚する時にひと言気持ちを伝えていれば未依ちゃんだって悩まずに済んだでしょうに」
「えっ! 待って、それ、誰から……」
「ふふっ。もちろん櫂と千咲さんからよ」

先日櫂夫婦が紬を連れて遊びに来た時に、ここ数年の未依の葛藤をすべて聞いたらしい。

まさかふたりが富美にそんな話をしているだなんて思いもよらず、未依は戸惑いながら目の前でゆったりと紅茶を飲む義母に視線を向けた。

「でもよかった。やっと収まるところに収まったのよね?」
「うん」

彼の帰国早々に突きつけた離婚届は、律の要望によりビリビリに破り捨てた。

『人生で言葉がでないほどショックを受けたのは、あの時が初めてだ』

かなりショックだったらしく、手元に残しておきたくないと眉間に皺を寄せた。

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