離婚するはずが、凄腕脳外科医の執着愛に囚われました

ここ最近、日勤の日の朝は一緒に出勤しているため、律と未依の結婚は周知の事実となっている。もしかしたら嫌がらせがエスカレートするのではと思っていたけれど、そうはならなかった。

『気付かなくて悪かった。もしもまた嫌な思いをしたらすぐに教えてくれ』

律の口ぶりから、彼がなにかしらの対応をしてくれたらしい。

たしかに以前はすれ違うたびに嫌みを言われたり、更衣室で着替えている最中に遠巻きにヒソヒソされたりと、不愉快な気分になることが多かった。それは『釣り合わない』『平凡な看護師のくせに』などという悪意ある言葉に傷ついていたからだ。

けれど、律と心を通わせた今、そういった声を無視できる強さを持てるようになったし、『他人が勝手に言ってるだけ』『周囲の声は正直どうでもいい』という律の言葉のおかげで吹っ切れた。

悪いことをしているわけではないのだ。周りから見て釣り合っていなかろうと、エリート医師の嫁が平凡で子供っぽい一介の看護師だろうと、誰に迷惑をかけているわけじゃない。

(それに、釣り合わないなんて言わせないくらい、私も仕事を頑張ればいいんだよね)

元来ポジティブな未依は、そう切り替えることにしたのだ。

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