離婚するはずが、凄腕脳外科医の執着愛に囚われました
たしか律が師事していた〝神の手〟と呼ばれる医師が、オリバー・デイビスという名だったはずだ。律のインタビューが掲載されていた海外の医療雑誌に、デイビス医師も一緒に載っていたので記憶に残っている。
きっと、ケイトはデイビス医師の孫娘なのだろう。
彼女自身はモデルとして活動しているらしく、ブロンドの髪にヘーゼルの瞳をしている、とても美しい女性だった。SNSの最新の投稿を見ると、関東近辺の観光地を巡っている写真が多数アップされているため、来日しているのは間違いなさそうだ。
さらに遡って見てみると、【寂しい】【早く会いたい】といった意味深な投稿が目立つ。それはちょうど律が帰国した直後の時期に合致するため、より未依の不安を掻き立てた。
帰宅した律にケイトのことを尋ねるつもりだったけれど、その日は救急で運ばれてきた患者の対応に追われたらしく、かなり疲れた様子だったため聞けずじまい。日を跨ぎ、改めてその話を蒸し返すのも彼を疑っているような気がして、切り出すのを躊躇っている。
律が愛したことがあるのは自分だけ。
そう信じているのだから、軽い雑談の延長でケイトについて尋ねればいいと頭ではわかっているのに、なにかと理由をつけて聞かないまま、ずるずると時間が過ぎている。
「……こんなの、私らしくないよね」
「なにが未依らしくないんだ?」