離婚するはずが、凄腕脳外科医の執着愛に囚われました
「えっ……」
彼女はたしかに『律』と呼んだ。思わず声が出てしまったけれど、ふたりには届かなかったらしい。
律はすぐにケイトを自分から引き剥がし、眉間に皺を寄せる。
(迷惑そうな顔を見てホッとするなんて、私って性格悪いな……)
未依が小さな自己嫌悪に陥っている間にも、ケイトは律の腕に触れている。親密に見えるその様子に、胸がざわめいた。
「あっ、あの人、ケイト・デイビスじゃない?」
「本当だ!」
見舞い客らしき女性ふたり組の会話が漏れ聞こえた。ケイトの声が大きいせいか、何事かと人が集まり始めたらしい。
「あのお医者さん、彼氏なのかな? うわー、美男美女でお似合い」
「でも、病院でイチャつくのはどうかと思う。うるさいし、仕事中なら絶対迷惑でしょ」
「たしかに。SNSでもワガママで感じ悪いってアンチがよくコメントしてるけど、意外と本当なのかな」