Existence *
「ごめん…私、未だに払ってもらってたんだ…。つか、名義変更しなくちゃ」

「別にいいんじゃね?面倒くせぇし。あー、でも?新しいの買いに行く?もう結構使ってっし」

「いや、でも悪いよ。私自分で買いに行くから。24にもなった女がさ、払ってもらってるなんてありえないでしょ?」

「…あれ?美咲って24だっけ?」

「うん、そう」

「あー…そっか。俺と同じ4月だからな。つか今年の誕生日は連絡なかったから分かんなかった」

「ごめんって!忙しかったんだから」

「はいはい」


そうでした。

美咲は昔っから忙しそうにしてたもんな。

その頃から俺には一切連絡をしないやつだったよな。

懐かしく思い出し俺は笑みを漏らす。

って、俺も人の事何も言えねぇんだけど。


「あれ…って事は翔って29になったんだよね?」

「なった」

「おっさんじゃん」

「お前待ってる間にこーなったんだから仕方ねぇだろ」

「はいはい。すみません」


申し訳なく謝る美咲に俺は頬を緩める。

何も知らない5年間の空白。

美咲の19歳から23歳は何も知らない。

もし、この5年間、一緒に居たならどう過ごしてたんだろうかとか、そんな日々を思う事もあった。


だけど美咲が居ないこの5年間を忘れようと必死に仕事に明け暮れて来た。


ただ、思うのは俺の事を覚えてくれていた事。


ただ、それだけ。
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