Existence *
「また空いてっ日あったら電話してきて」

「あぁ」

「あ、ちなみにリアも来た」

「そっちもかよ」


ため息交じりに呟いて、顔を顰めたままタバコを咥える。

どっちも、しつけぇな。と思いながら深くため息と共にタバコの煙を吐き出した。


「そう、そっちも」


そう言って流星の笑い声が電話口から聞こえて来る。


「なんか言ってた?」

「いや、特に。ってか俺には何も言わねぇし。家教えてって言われただけ」

「言われてんじゃねぇかよ。しかも家って、」

「あ、もちろん教えてねぇよ」

「当たり前だろうが」

「お前が会わねぇから聞いてきたんだろ」

「いや、普通会わねぇだろうが」

「リアは普通じゃねぇからな」


ごもっともな言葉を吐き出した流星に思わず納得する。

こっちもまだ諦めてなかったのかよ。

ま、そうだよな。

そんな簡単に引き下がる訳ねぇか。


「…あの男ももっとリアを飼いならしとけよ」

「え?…なんつった?」

「いや、なんもねぇよ。また電話するわ」

「わかった」


流星と電話を切って一息吐く。

手すりから背を離し、反対側に身体を向け、目の前に広がる夜景をボンヤリと見つめた。


ほんと、あの御曹司の男がもっとリアを飼いならしてれば俺に向く視線もなくなるだろうに。

婚約者がどうこじゃなく、早く、結婚しちまえよ。


「社長ねぇ…、めんどくさ」


思わず口から吐き出し、俺はタバコを消し中へと入る。

結局、その後もパソコンに視線を送り、ベッドに入ったのはもうすぐで朝になろうとする4時半を回った頃だった。


隣の美咲の額に手を当てる。

熱がない事を確認し、俺はすぐに目を閉じた。

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