Existence *
やっぱりそんな都合よく、簡単に会えるはずでもなかった。

次の日の夜、リアの職場に顔を出すも、リアは居なかった。

居なかったというよりも今日は出社をしてないらしい。

ま、居たとしても時間も時間か。

もうすぐで20時になるからどっちみち居ねぇか。

むしろ流星が言うようにアポなしでは会えないらしい。


「ご予約お取りになりますか?」


目の前の受付の女がそう言って俺を見る。


「予約?それしねぇと会えねぇの?」

「はい。アポイントなしではリア様とお会いできませんので」

「めんどくせぇな、」


思わず小さく呟いてしまった。

その俺の声を拾ったのか、目の前の女は戸惑ったように一瞬瞳が揺れる。


「あの…」

「なに?」


女の視線が気まずそうに俺を見る。

ジッと見つめる俺に対して女の視線がぎこちなく揺れ、ゆっくりと口を動かした。


「えっと。…もしかして彩吹楓さん…ですよね?」


ここに来てそんな事言われるとは思ってもみなかった。

その名前だったのは昔の話で、今は違う。


戸惑うように見つめて来る女に、「いや、違う」素っ気なくそう言って、俺は背を向けた。

大概の女の顔は覚えている。

それなりに覚えないといけない仕事だったし、覚えなきゃやってられない仕事だった。

でも、さっきのあの受付の女の顔は初めて見る顔だった。


つーか、簡単に会えねぇとか、どんな態勢にしてんだよ、まじで。

めんどくさくて仕方ねぇわ。
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