Existence *
「美咲ん所ならいける?」


思わず美咲の名前を出してしまった。

ここに居るかは断然いい。

むしろここに居てなんかあったら俺も困る。

最後に会ったのが俺で、その後に何かあったら困る。


「美咲センセ―にはこれ以上迷惑かけたくないので…」

「迷惑?」

「はい。いつも迷惑かけてるので」

「うーん…、きっとアイツはそんな事思ってないと思うけど」

「思ってますよ?私、いい子じゃないので…」

「いい子じゃないって?じゃあ、いい子ってどんな奴なわけ?」

「…え?」

「何でもかんでも全てを聞く奴がいい子って言うの?反発しない奴がいい子って言うの?周りの意見を全て聞いて、何でもかんでも人の言う事を全て聞く奴がいい子って言うの?」

「……」

「自分の感情を全て押さえこんで相手の事ばかり優先してる奴の事?そんな奴いんの?そもそもそれってさ、誰がどういう基準で決めんの?」

「……」

「俺はアンタの事分かんないけどさ、美咲は何も思ってないよ?」


そう言った俺の言葉に女の子は薄っすら笑みを浮かべた。


「そんな風に思えるの素敵ですね。ほんと美咲センセ―の事好きなんですね」

「うん?」

「私もセンセ―の事好き」

「そう言うと喜ぶね」

「初めて見た時からセンセ―の事、この人なら私の事受け入れてくれるんじゃないかなって思ったんです」

「そう…」

「不思議ですよね?話したこともないのに、直感でなんかビビッときたって言うか」

「うん、なんか分かるよ」

「凄く美人だし、センセ―みたいになりたいって思うくらい好き」

「そっか。それ言うと喜ぶよ?」


俺も好きだけど。

多分、この子が思ってるかより俺の方が美咲が好き。

だから思わず苦笑いが漏れた。
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