Existence *
実香子の視線が俺に向いた後ルキアさんに向く。

コクリとルキアさんにお辞儀をした後、


「翔くん、点滴」


そう言って液体をベッドに置いた。


「うわー…実香子ちゃんやん」

「え?」


実香子は驚いたように目を一瞬見開きルキアさんを見つめる。


「俺やん、ルキア」

「あ、あーっ、ルキアさん?全然分からなかったです」

「10年くらい会ってへんもんなぁー…」

「そうですね」

「俺も実香子ちゃんの事分からんかったけど、名札で分かったわ」

「あ、そうなんですね」

「もうめっちゃ看護師やん」

「そうなんですよぉ…もうずっと翔くんの担当で」


苦笑いをする実香子にルキアさんは笑いだす。


「ほんま困った男やなぁ」

「ほんとですよ」


笑う2人を無視して、腕を出す俺に実香子が点滴の用意をし針を刺す。


「言う事聞かんかったら俺に言うてきて説教したるから」

「よろしくお願いします」

「つかなに?何の約束?意味分かんねぇわ」


2人の会話に割り込んで、俺は顔を顰める。


「何って、なんかあったら実香子ちゃんも困るやん」

「は?何もねぇわ」

「そんなん分からんやんけ。なぁ、実香子ちゃんコイツ大人しくしてんの?」

「まぁ、大人しくって言うか、常に誰かが来てます」

「ははっ、それって女?」

「前の時はほぼそうでした。今の所は男友達ばっか来てます。だって常に病室来たら居るんだもん」

「ごめんなぁ…うっさいよな。こいつ友達多すぎるから」

「そうですね」

「だから個室なんや」

「じゃなきゃ困るでしょ、他の患者さん困っちゃいますよ」

「ハハッ、そら、そうやな」


ほぼ実香子とルキアさんが2人で話してた。

結局、ルキアさんは実香子と話をしに来たようなもんで、目を瞑ってる俺の横で暫く話してた。
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