Existence *
「お前、自分がしてる事分かってんのかよ!!」

「あ?お前に関係ねぇだろ。離せや、この手」


流星に掴まれていた手を掴み取る。

だけどあまりにも力強い流星の手を簡単に振りほどくことが出来なかった。

酒を飲んだせいか全く力が入らない。

いや、そうじゃなく相当怒ってる流星の方が力が強いだけなんだろうか。

なんせ殴られた頬が痛い挙句、血の味がする。

口の中に広がる血の味が不愉快だった。


「お前さ、マジでいい加減にしろよ?病院勝手に抜け出して、酒飲んで、挙句の果てに女と何してんだよ!!」

「うっせぇよ、お前に関係ねぇっつってんだろ!なんで関係ねぇお前に殴られねぇといけねぇんだよ、」

「実香子が焦って電話してきた!お前が居ないって、」

「……」

「お前、分かってんの?今のお前の状況。…お前がそれで死のうが俺はどうでもいい」

「……」

「お前が死んだところで俺は関係ねぇけど、でも!迷惑かけんなや!」

「テメェには迷惑かけてねぇよ」

「俺にかけてなくても、実香子にかけんなや!!」

「……」

「あいつがどれだけ病院内探して、どれだけ上の人に頭下げたか分かってんのかよ!!」

「……」

「そんな事知らずにお前は女と何やってた?」

「……」

「他の女と抱き合って何してんのお前。なんでお前、美咲ちゃんの事、傷つけてんだよ!」


流星の罵声が飛び交う。

その言葉に、は?と言うまでもなかった。

って言うか、傷つけるどころかとっくに俺が捨てられてるっつーの。


「うっせぇよ、お前。つか、俺のことなんかほっとけよ」

「あ?出来ればこんなクソダリぃ事したくねぇよ。こんな下らねぇ時間使ってよ」

「……」

「お前の為に来てんじゃねぇよ!すべての人に迷惑掛かってんから探しに来たんだろうが!!てめぇのこんな下らねぇ事で、実香子を困らせてんじゃねぇよ!!アイツがどれだけお前の事思ってしてるのか分かってんのかよ!!お前の所為で――…」

「…――はいはいはい、そこまでな。ユウトもう帰れ。病院には俺は連れて行くから。もう仕事戻れって」


流星の腕が蓮斗によって俺の胸倉から離れていく。

俺を睨んで舌打ちした流星は、俺に背を向けて歩き出した。
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