Existence *
「はーい、お前らも散って。見せもんじゃねぇから早く散れや」


周りに居た数人の野次馬に蓮斗は手で追い払い、周りの奴らが散らばって行く。


「お前さぁ…まじで何してんの?」

「……」


蓮斗の車に乗り込んだ時、蓮斗が冷静にため息交じりで呟いた。


「流石に病院抜け出して酒と女って、」

「……」


呆れた様にそう言って蓮斗はタバコを咥えた。


「実香子には後で病院に連れて行くって言ってっから、まず謝れ」

「……」

「そもそもここに至った経緯はなに?」

「……」

「まぁ別に俺も聞きたないし言わんでもいいけど、美咲ちゃんおんのに他の女に手出すって、それはナシやろ。美咲ちゃんに何て言うん?」

「……」

「俺でもそれはせんわ」

「……」

「するんやったら別れてからしろや」

「…せやな。お前昔っからそう言うてたもんな」


窓の外の景色を見ながら俺は小さく口を開く。


「そのほうがめんどくさくなくて済むからな」

「……」

「それが一番効率良いし、楽や」

「てか、その楽に乗っただけじゃねぇかよ」

「…え?」


蓮斗が小さく呟く。

窓から見える蓮斗の影が振り返ったのが分かった。


「美咲、美咲って、まじで怠い」

「え、お前…、もしかして別れてんの?」

「だったら別に他の女抱こうが関係なくね?誰にも迷惑かけてねぇし」

「あ、いや、ちょっと待って。まぁそこは誰にも迷惑かけてねぇな。でも病院抜け出して酒はよくねぇだろ」

「……」

「お前もガキじゃねぇんだし、それくらい分かんだろうが」

「……」

「まぁ…もう、とりあえず実香子待ってっし病院戻んぞ」

「なぁ?悪いけどシャワーだけ浴びさせてくんね?病院帰ってもこの時間無理だし」

「あー…、こんな時間にお前連れて帰ったら梨々花ビックリすっから事務所でもいいか?」

「あぁ、悪いな」


蓮斗が車を走らせる。

窓から眺め、変わっていく景色を俺はボンヤリと眺めた。

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