Existence *
暫くして着いた場所。

物凄い人で溢れ、人がごった返すくらいのショッピングモール。


新しくできた事もあって、日曜日で更に人が増す。

先に昼食をとって、いろんな店を回る。

普段、俺一人じゃなかなか来ない場所。

そこを美咲と回るのも悪くないと思った。


「あ、これ可愛い」


インテリ雑貨で美咲がマグカップを手に取って嬉しそうに見つめてる。


「買ってやるそ」


そう言って俺も同じものを手に取って見つめた。


「いい。自分で買う」

「でたっ、美咲の口癖」


思わず出た言葉と共に美咲を見て笑みを浮かべると、美咲は少しだけ顔を顰めた。


「私の口癖って何?」

「大丈夫。と、自分で買う」

「そんな言ってないよ」

「言ってる。たまには買ってって言えば?」

「その口癖は慣れてない」


困った様に苦笑いする美咲の手にあるコップを俺は取り、会計を済ませる。


「他は?なんかねぇの?」

「うーん…翔は?」

「俺?」

「俺はビールと酒」

「何それ」

「だって、ねぇし。それがあれば何もいらねぇ」

「ほんっと好きだよね。酔ったりしないの?」

「んー…そこまで飲んでねぇしな」


ほんと最近は飲む量が減った。

夜の仕事を辞めてから、大量に飲むこともなくなった。

むしろ、もうあれほどは飲めないだろう。


「翔のそこまでって言う量がわかんない」

「適度、適度」

「余計にわかんないし」


呟くように言葉を吐き出す美咲に苦笑いになる。

こう言う機会だから何店舗もある色んな店を見回って、歩いてる時だった。


「…翔くん?」


不意に聞こえた声に視線を向ける。

その声に反応したのは美咲もで。


「え、梨々花。何でこんなとこに居んの?」


俺の隣で美咲は誰?って感じで梨々花をジッと見つめてた。


「あ、今日ね派遣でここの上の店でしてる」

「あー、そうなん?」

「うん。…っと、」


そう言いかけて梨々花の視線が美咲に向かって、俺に向く。


「あ、あぁ…美咲」

「あ、やっぱりそうだったんだ。噂通りの美人さんだ」


そう言って梨々花は頬を緩めて美咲を見つめた。
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