Existence *
「あのさ、質問詰めやめてくんねぇか?」

「え、何で?だって気になんじゃん」

「だったらもっと電話してこい。自分の事もっと話してこい。俺、お前の事何も知らねぇし」


ほんと、美咲の事は何も知らない。

ま、俺も俺でそんな電話してなかったけっど、美咲は俺以上に何もしない奴。


「…ごめん」


小さく呟かれる声に俺は吹っ切れた様に顔に笑みを作る。

そして俺は再び足を進めた。


「ま、美咲はそんな奴って前々から知ってるからいいけど」

「ごめーん…」


反省しているのかしていないのか分からない反応。

困ったように可愛く返してきた美咲の声に俺はフッと笑みを漏らした。


「でも…、なんか変わった?」

「え?」


何が?と言わんばかりに振り返って首を傾げる俺に美咲も同じ様に傾げて俺を見つめる。


「あー…そっか。うん、分かった」

「え、ちょっと何?何が分かったって?」

「秘密」

「何それ…」

「ってウソウソ。…性格」

「性格?」

「そう。なんか大人びてるっつーか、昔みたいに不愛想でツンツンしてねぇなって思った」

「…あっそ」

「やっぱ変わってねぇわ」


素っ気なく返してきた美咲に俺はクスクス笑みを漏らす。

やっぱあの頃の美咲と変わってねぇや。


「…翔は何も変わってないね」

「うん?俺?」

「うん」

「だって変わるところなんてどこもねぇもん。あ、そうだ。とりあえず先に美咲んちに行こ」

「え、あ…うん」


俺も待っていたけど、美咲のお母さんもずっと元気に帰って来る事を待っていた。

5年が長いと思っていても、お母さんは俺に気を使っていたのか、その言葉を口にする事はなかった。

たまに顔を出す俺にさえ、私の事は気にしなくていいよ。大丈夫だから心配しないで。って、そう毎回の様に言っていた。

ほんと、美咲と似てる。
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