Existence *
「そーっすよ。やりたいとか憧れで入ってなくて、よくあの座に居れましたね」

「あの頃は当時の代表にNO1にならねぇと辞めろって言われてたから。まぁ今考えたら俺頑張ってたなーって思うわ」

「あんだけ一番だったら毎日が楽しいっしょ。いいっすね」


愁はそう言ってうらやましそうな目で俺を見た。

そんな愁に俺はフッと思わず鼻で笑う。


「そんな事もねぇよ。一番楽しかったのは20歳から23歳までかな。今のお前と同じ時だわ」

「それ以降は?」

「うーん…それ以降は色々あったからなぁ」


過去を思い出し、色んな物語が頭を過っていく。

23歳からは美咲の事で頭がいっぱいでそれどころじゃなかった記憶しかない。


「色々って?」

「まぁ、俺にもいろいろとあんだよ。お前は今が絶頂期。色んな事学んで楽しむ方がいいわ」

「そうなんすかね」

「なんか目標とか作りな」

「目標っすか?例えば?」

「例えば…、半年後までにNO3になるとか1ヶ月に指名客を何人増やすとか。それが出来たらまた次の目標が出来るから」

「あー…なるほど」


考える様に呟く愁を見ながら俺は目の前の料理に手を伸ばす。


「翔さん、もっと頼みます?」

「いや、いいわ」

「俺、ビール頼むけど翔さんと愁は?」

「じゃあついでに頼んで」


俺の言葉に同意するように愁も頷き、彩斗は店員にビールを追加する。


「あー…、つか新店オープンすんだろ?」

「あっ、そうなんすよ。聞きました?」


彩斗がそう言いながら目の前の料理に手を伸ばす。

そして取り分けた皿を俺の目の前に置いた。


「流星から聞いた。で、思ったけど、愁は流星の店に行けよ」


愁に向かって言葉を放つと、愁は何でって表情で俺を見た。
< 72 / 159 >

この作品をシェア

pagetop