Existence *
「まじっすか?そんじゃあ何か俺に奢ってくだいよ。飯食いに行きましょ」

「そんな暇ねぇんだけど」

「最近、翔さん付き合い悪いっすね」


タケルはゲンナリとした声でため息を吐き出す。

そしてうな垂れる様にベンチに深く背をつけた。


「俺ってそんな付き合い、いい奴だっけ?」

「昔はよく奢ってくれてたのに。俺より彼女っすか?」

「あたり前の事聞くな。つかお前、最近、蓮斗とよく居るじゃねぇかよ」

「そうなんすよ。何でかと言うと愛優のめんどうっす」

「ははっ、いいじゃねぇかよ」

「まぁ、あの蓮斗さんが飯奢ってくれるんすよ。あ、でもどさくさに紛れてたまに諒也が香恋も連れてくんだけど、香恋ちょっとめんどくさい」

「なんで?」

「あいつ毎回、翔くんは?翔くんは来ないの?ってずっと言ってくんの。なに、あいつ?」


困った様に口を開くタケルに俺は声に出して笑う。


「あー…最近、香恋と会ってねぇわ」

「会った方がいいっすよ、マジで」


はぁ。と大きくため息を吐き出すタケルに苦笑いを返す。


「まぁ、そのうちな」

「たまには子育てしとかねぇとダメっすよ」

「いやいや、そんな時間ねぇし」

「翔さんが拒否っから俺に連絡くるんすよ?只今、アキと子育て中っす」

「あー…最近、アキとも会ってねぇわ」

「アイツは元気っす」

「聞かなくても元気だろーよ、アイツは」

「じゃあ、今度アキと飯食いに行きましょ」

「んー…、またそのうちな」


本に視線を落としてすぐ俺はタケルに視線を向け、「なぁ、」と小さく口を開く。


「うん?なんすか?」

「お前ってさ、英語話せんの?」

「話せる訳ねぇっすよ。なんでっすか?」

「お前よく観てんじゃん。海外ドラマとか」

「観てるからって話せる訳ねーっしょ。字幕っすよ。俺、日本語も曖昧なのに…」

「……」


平然とサラッと言ってきたタケルに俺は何も言わずにタケルを見る。

ほんと、そうだった。

日本語能力も低かったんだった。


「もー、なんすか、その白い目で見んのやめて下さいっすよ」

「悪い。聞いた俺が馬鹿だったわ」

「はぁ?すんすか、それ。ちょー、蓮斗さんっ、」


さっきまで誰かと電話していた蓮斗が電話を切ると、すぐにタケルが蓮斗に声を飛ばす。

その声に「うん?」と振り返った蓮斗が俺たちに視線を向けた。
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