Existence *
「なーんか翔さんが俺の事、日本語も曖昧とか言うんすよ」

「お前から言ってきたんだろうが」

「それに納得してたじゃないっすか」

「いやいや、海外ドラマ観てっから英語話せんのか?って聞いただけだろうが」


そんな俺とタケルの会話に笑いながら「確かに」と言う蓮斗の言葉が零れ落ちる。


「は?何が確かになんすか?」


タケルは深いため息を吐きながら顔を顰めた。


「つか、お前さ、この前海外ドラマ字幕なしで観てただろうよ。字幕設定出来んとか言って」

「はぁ?お前そんなんで分かんのかよ」


蓮斗の言葉に呆れた様に俺は言葉を返すと、蓮斗はクスクス笑い始めた。


「いやー、雰囲気っすよ」

「雰囲気?意味わかんね」

「は?そう言う翔さんも洋楽ばっか聞いてんじゃん」

「ドラマと音楽は違うだろ」

「あー、でも俺には解説者がいるんすよ」

「解説者?」

玲也(れいや)っす」

「あー、玲也ね」


あいつも英語ペラペラだからな。

美咲が留学に悩んでる時、田口先輩が留学の資料を集めてくれたって言ってたな。


「てかあいつ今、ワンホリしてんだろ?」


蓮斗が思い出したように口を開く。


「あ、そーなん?全然知んねぇわ」

「諒也が言ってたわ。なぁ?」


蓮斗がタバコを取り出して火を点けると同時にタケルに視線を送る。


「そうそう。もうすぐ帰って来る」

「どこ行ってんの?」

「カナダ」

「まじかよ。すげぇな、アイツ」


思わず呟いた言葉に苦笑いが零れる。

ポケットから取り出したタバコを咥えた時、不意に鳴り出したスマホに二人の視線が俺に向かい、俺はまだ火を点けていないタバコを口から離した。

スマホを取り出し、その名前に一瞬顔を顰める。


「…流星」


思わず呟いてしまった声に蓮斗が何故かクスクス笑いだした。
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