Existence *
美咲が風呂から上がった後、俺も続けて入り、記憶をかき消す様に頭上からシャワーに打たれた。
ドロドロとした感情が心の中を支配し、この先の不安さを蘇らす。
偉そうなことは美咲に言う資格などない。
ほんとにどうしようもなかったあの頃の記憶がいっきに蘇って来る。
結局、お袋の手術の日も俺は病院には行かなかった。
男女問わず遊び暮れてて、俺には関係ないって、ずっとそう思ってた。
そんな俺に現れたのが沙世さんだった。
「百合香、待ってるから一度病院に行きなさい」
「は?なんで?行く必要ねぇだろ。つかよ、わざわざ来んなや」
「あなたのたった一人の母親でしょ?大切にしなさい」
「大切にって何?大切にされてねぇ俺が、大切にしろってか?おかしなこと言ってんじゃねぇよ」
「翔くんは分かってない。百合香の気持ちも大切にアナタの事を想ってた気持ちも。百合香はいつでも一番に翔くんの事を考えてる」
「あのさぁ、まじでそう言うのいいから。めんどくせぇわ」
「百合香は翔くんの為に頑張ってきたの。そんな言い方はないんじゃないの?百合香の気持ちも考えなさいよ」
「はぁアイツの気持ちなんか知る訳ねぇだろ。俺の為、俺の為って、意味分かんねぇこといってんなや。ずっと家に居なかった奴の気持ちなんて分かる訳ねぇだろうが」
「だとしても!あなたをここまで必死で育ててきた。あなたが悪いことして呼び出されても、必死で何度も色んな人に頭下げてた!自分の身体を削ってまで百合香はあなたの為に必死で頑張ってた」
「あー、もう、うっせぇよ!もう俺の前にくんじゃねぇよ」
「百合香、余命宣告出てる」
「知らねえよ、んな事」
…―――
記憶が舞い戻って来る。
この先一生思い出さなくてもいい記憶が。
あの頃の俺は生きる事への報着など全くなかった。
何の為に生きてるのかもわからなくて、ただその毎日を生かしてるだけだった。
未来の事など何も考えずに、今だけの事しか考えてなかった。
忘れたくても忘れられない過去。
戻りたくても戻れない過去。
記憶って、そう簡単には消せないんだと改めて思い知らされた。
ドロドロとした感情が心の中を支配し、この先の不安さを蘇らす。
偉そうなことは美咲に言う資格などない。
ほんとにどうしようもなかったあの頃の記憶がいっきに蘇って来る。
結局、お袋の手術の日も俺は病院には行かなかった。
男女問わず遊び暮れてて、俺には関係ないって、ずっとそう思ってた。
そんな俺に現れたのが沙世さんだった。
「百合香、待ってるから一度病院に行きなさい」
「は?なんで?行く必要ねぇだろ。つかよ、わざわざ来んなや」
「あなたのたった一人の母親でしょ?大切にしなさい」
「大切にって何?大切にされてねぇ俺が、大切にしろってか?おかしなこと言ってんじゃねぇよ」
「翔くんは分かってない。百合香の気持ちも大切にアナタの事を想ってた気持ちも。百合香はいつでも一番に翔くんの事を考えてる」
「あのさぁ、まじでそう言うのいいから。めんどくせぇわ」
「百合香は翔くんの為に頑張ってきたの。そんな言い方はないんじゃないの?百合香の気持ちも考えなさいよ」
「はぁアイツの気持ちなんか知る訳ねぇだろ。俺の為、俺の為って、意味分かんねぇこといってんなや。ずっと家に居なかった奴の気持ちなんて分かる訳ねぇだろうが」
「だとしても!あなたをここまで必死で育ててきた。あなたが悪いことして呼び出されても、必死で何度も色んな人に頭下げてた!自分の身体を削ってまで百合香はあなたの為に必死で頑張ってた」
「あー、もう、うっせぇよ!もう俺の前にくんじゃねぇよ」
「百合香、余命宣告出てる」
「知らねえよ、んな事」
…―――
記憶が舞い戻って来る。
この先一生思い出さなくてもいい記憶が。
あの頃の俺は生きる事への報着など全くなかった。
何の為に生きてるのかもわからなくて、ただその毎日を生かしてるだけだった。
未来の事など何も考えずに、今だけの事しか考えてなかった。
忘れたくても忘れられない過去。
戻りたくても戻れない過去。
記憶って、そう簡単には消せないんだと改めて思い知らされた。