Existence *
「翔くん、自分の事、責めんの辞めなよ。翔くんより自分の事責めてんの美咲ちゃんじゃないの?」

「だと思う」

「美咲ちゃんは、どんな感じなの?5年前の事、怒ってた?」

「まぁ、隠してたからな」

「でも今は昔の事掘り出してる場合じゃないよね…」

「実香子には言っとかねぇとって思ったから」

「ありがとう。…私も美恵さんに会いに行ってみるよ」

「あぁ」

「翔くんも自分の身体の事、気にかけてよね」

「大丈夫。最近、酒も全然飲んでねぇし」

「そう。ならいいけど」


実香子の病院を後にし、俺はそのまま諒也の家まで向かう。


「遅くにごめんね」


出てきたのは葵ちゃんで。

葵ちゃんは悲しそうに表情を崩して俺に首を振った。


「諒也は?」

「もうすぐお風呂から上がって来ると思う」

「そか」

「入って」

「ありがとう」


中に入った俺を出迎える様に笑顔で迎えてきたのは香恋だった。


「…翔くんっ、」


蔓延の笑みで俺に抱きついてきた香恋を抱きしめ、俺は香恋の頭を撫ぜる。


「おー、香恋。久しぶり」

「会いたかったっ、」


その言葉に苦笑いする俺は香恋に手を引かれてソファーに座った。


「香恋、髪濡れたままだぞ」

「パパとお風呂入ってた」

「乾かさねぇと風邪ひくぞ」


首掛けてあるタオルで香恋の髪を拭く。

そんな香恋は嬉しそうに俺を見つめた。


「翔くん、今日お泊りするの?」

「えー…しないよ」

「香恋、翔くんと寝る」

「今日は帰んねぇとなぁー…」

「じゃあ遊ぶ?」

「ほーら、香恋。髪乾かしに行くよ。おいで」


葵ちゃんが香恋の腕を引っ張って連れていく。

そして入れ替わるように諒也が俺の隣に腰を下ろした。
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