君が大人になった時、もしまだ俺のことが好きだったなら・・・
小林さんの為に飲み物と食料を追加購入した後、二人で並んで『花火の良く見えるポイント』へ向かって歩いた。

「え?ここ?」
「そう、ここ!」

連れて行かれた公園は確かに町の高台に位置する。
そして、道路を挟んだそこにあるのは俺の家だった。

「ここの滑り台の上がよく見えるの」
暗くなってきた公園のベンチに二人で座る。

俺はネクタイを外して、襟元のボタンを緩めた。

パチンッ。

目の前をふらふらと飛ぶ蚊を叩いた。

「あ。私虫除け持ってるよ」
「貸してもらってい?」

「はい」
「ありがとう」

ミストタイプの小さな虫除けを体に振りかける。
「先生、背中にもかけたげる」
「ん、頼む」
ミストを返すと、背中を向けた。

シュッ、シュッ。
「先生ってさ、肩幅広いね」
「そうか?普通だろ」

「ん、つけたよ」
「ありがとう。 小林さんもつける?」
「うん」
と言って掌を出した。
その上にミストを置き、小林さんは俺に背を向けた。

外灯の青白い光に、小林さんの白い肌が浮かんだ。

シュッ、シュッ。

すっと伸びた背筋を見て、俺は綺麗だと思った。

「・・・だな」
「え?」
「いや。なんでもない」

高校生相手に綺麗だと言いそうになった。
聞こえなくてよかった。


「ね、先生っていくつ?」
「182」
「へえ、高いー。で、何歳?」
年齢のことだったのか。

「23。ちなみに誕生日は1月23日」
「1・2・3!」

「ははっ。小林さんは・・・今16?7?」
「16。8月6日で17歳。プレゼント待ってるよ」

「ハローか」
「何でもゴロで覚える世代?」

「は?そんなに変わらねえだろ?」
「7つ。もう少しで6つ。・・・そんなに変わんないね」
小林さんは大きな口を開けてほほ笑んだ。


ド―――ン。

「あ」
「あ」

花火が始まった。


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