君が大人になった時、もしまだ俺のことが好きだったなら・・・
「こっちこっち。先生!」
小林さんに腕を引かれて滑り台に走る。

「ほら、昇って!」
小林さんが滑り台の階段を昇り始めた。

「ちょ、ちょっと待って、小林さん!」
俺は自分よりほんの少し高い位置にいる小林さんの肩を掴んだ。

「え?」
と言って振り返った。


小林さんの口がちょうど俺の視線の高さと重なった。

目の前にいる小林さんとの距離が近くて俺は焦ってしまった。


「悪い」
俺は肩から手を離して視線を逸らした。

「あ、うん。えっと・・・・昇っちゃ、ダメだった?」
「いや・・・」

このまま登ったら俺の目の前に彼女のショートパンツと足が来ると思って慌てて止めた。
そんなスケベ心を本人に伝えるわけもできないし、生徒にそんな感情をもったなんて言えるわけもない。


「滑り台の上って大人二人が昇るには狭すぎるよ」
「確かに…」

「しかも俺たち二人はどちらも巨大だからな」
「ひどいっ!」

「ははは。背が高いのは本当だからな。
俺はここから見るから、小林さんは上に登ってもいいよ」
「うん」

小林さんはカンカンと音を立てながら階段を昇った。
俺は視界から小林さんの足を見ないように背を向けて花火の方を見た。


どおおおおおおおん。
バラバラバラバラ。


花火の音が響く。
肝心の花火は‥‥目の前に建つマンションから3分の1だけがはみ出して見えた。
「はあああああ!?何、あのマンション!?」

すまない・・・俺はあそこに住んでいる。
そして、どうやらあれが花火の邪魔しているようだ。

「なんか・・・ごめん。あれ、俺んちだ」
「ええ!?」

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