クリームソーダだけがおいしくなる魔法
「え?」
彼がきょとんとする。とても幼い顔で。
「え、だって、
良く飲んでるなーって」
「君が好きだと思ってたから!!」
「私は君が好きだと思ってた」

「アレ?」

やれやれ。慣れないことはするもんじゃない。探り合いなんかしてないでさっさと本音をぶつけあっていれば良かった。雪合戦みたいに。私も彼と同じ。かんじんなところではおっちょこちょいだ。(お似合い)

「実は、
この魔法、参考にした本とはひとつ違うところがあるんだ」
ひとしきり額に浮いた冷や汗を清潔な青いハンカチで拭いたあと、彼はゆっくりとそう言った。誰かに、自分に、言い聞かせるように。
「本ではね。かんたんなアナグラムなんだ。『君がこのクリームソーダを気に入ってくれますように』って言う英語の文字を入れ替えただけ。
子ども向けの本だから単語の頭文字を取って入れ替えただけってなってる」

「まさか」
「ごめんね。うん。
そのまさかなんだ」
「実はコーラフロートって言ってた?」
「そうじゃない」

あきれたような彼の顔が、みるみるうちにとろけた甘いコンデンスミルクみたいな笑顔になる。

「『君が僕のお嫁さんになってくれますように』。
『Wish you will be my princess』。
『WWMP』を入れ替えて『MPW2』」
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