この命のすべてで、君を想いたい



点滴の機械が小さく鳴る音だけが、部屋に響いていた。



『あのさ……別に毎日来なくてもいいよ?』


「来たいの」


『……そう言うと思った』


「でしょ」



そう言って笑う空の顔を見ると、



自分の弱さとか未来のこととか、全部どうでもよくなってしまう。



そんな自分が少し怖い。




「ほら、これ。今日コンビニで見つけたやつ」



空が袋を開けて、小さなプリンを取り出す。



『え、ちょっと食べたいかも』



「でしょ。買ってくると思った?」



『もしかして……エスパー?』



「雫の食べたいものくらい分かるよ」




『……空、彼氏みたいじゃん』



「うん。そうだよ?」



言われた瞬間、くすぐったいような、泣きたいような感情が胸に広がった。





プリン一口食べただけで息が上がるようになった自分に、
私は毎日びっくりする。




でも――

空は何も言わない。

「大丈夫?」とも聞かない。


ただ、スプーンを持つ私の手を自然に支える。


そのさりげなさに、涙が出そうになる。



私は何も言えなくて、現実から目を背けたくて話題を変える。


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