花に溺れ恋に純情~僕様同期御曹司の愛が私を捕らえて離さない~
 *

 閉鎖空間が苦手だった。
 一度、小さい頃、エレベーターに閉じ込められた記憶があって、以来、「閉じ込められる」と感じると駄目になった。
 会社に入って、五十人以上が一部屋に詰め込められる研修時代も、吐き気をこらえた。
 誰にでも起こりうるもの。大したことはない。
 そう思い込んでいた私を介抱し、うちのアパートに連れて帰り、黙って世話を焼いてくれた。この二ヶ月間ものあいだ。
 一時は起き上がれないほどに酷かった。
 けど、おんぶして私をユニットバスに連れて行ってくれた。
 男の子におんぶして貰う初体験をこんなかたちで奪われるとは。
 何度も、何十回もおんぶをしてくれたあなたは、何食わぬ顔をして言うのだ。
「やー。好きな子をおんぶするのって憧れてたんだよねー」
 頭をシバかれてもあなたは笑っていた。
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